日本人は苦手?「欧米型採用」とそのリスク 「待ちの姿勢」では限界がある

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さらにこの5000万人に企業の求める、経験豊富で貴重な戦力となる人材が隠れていると言われています。たとえば、転職者が少ない大企業や社内で長く仕事を任されている専門性の高い人材。海外企業であれば、こうした転職潜在層にアプローチして戦力を確保しているケースが非常に多くあります。

Jobvite が米国企業1600社の人事関係者に行った採用手法に関するアンケート調査によると、採用活動で使っているツールの1位はソーシャルメディアを使っての潜在層へアプローチでした。人事部自らが人材を探して、スカウトメールを打つなどして、新たな人材の採用を実現しているのです。

これは、先ほどの日本の中小企業の姿勢とは大きな違いがあります。さらに攻めの採用を行うと「選考」よりも「口説き」が重要になります。応募意志の低い(ない)人材を応募から入社まで決断させるには、採用プロセスで動機形成のコミュニケーションを行うなど手間がかかります。それゆえ、採用活動の業務負担は大きくなります。

ダイレクトリクルーティングを活用せよ

ただ、その手間を惜しまず、潜在層にアプローチすることが必要な時代になったのではないでしょうか? 時代の流れを察して、日本企業でも攻めの姿勢で果敢に採用に取り組む企業が出てきました。その際に活用するのがダイレクトリクルーティングという手法です。

ダイレクトリクルーティングとは、「自分たちで声をかけて求職者を呼び込む」という意味。そうして、自ら採用する人材の母集団をつくり出すことを目指します。採用の母集団を、ダイレクトに自分たちで作り出す(攻め)のか、アウトソース(待ち)にするのか、と考えると違いがわかりやすいと思います。その際に使われる主なツールが

・人材データベース

・SNS

どちらも企業側からアプローチをして採用活動を行います。ゆえにアプローチした人材には必ずしも入社意欲があるわけではなく、採用過程でその会社に転職したいという動機を形成してもらう必要があり、それにはそれなりの工夫と負担が求められます。

今後、こうしたダイレクトリクルーティングが仮にどんどん活用される時代になっていったときに、みなさんに影響はどのくらいあるでしょうか。攻めの採用に便乗するか、否かの覚悟を問われるようにて職務経歴などアピールする努力をすべきです。

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