デフレ脱却の理想と現実

物価上昇率2%達成に、黒田総裁は自信を見せたが…

日銀の景気判断で「回復」の文字が復活するのは、2011年1月以来(撮影:尾形 文繁)

「2%の物価安定目標は十分達成できると考えている」--。日本銀行の黒田東彦総裁は11日、金融政策決定会合後の会見で、改めてデフレ脱却に向けた自信を示した。

今回の会合では、4月に決めた金融政策の現状維持を全員一致で決定。景気判断は、6月の「持ち直している」という表現から、「国内需要が底堅く、企業部門は所得から支出へという前向きの循環メカニズムが次第に働き始めていると見られる」(黒田総裁)ことを踏まえ、「緩やかに回復しつつある」と一歩前進させた。日銀の景気判断で「回復」の文字が復活するのは2011年1月以来だ。

「悪い物価上昇」を避けられるのか

景気回復と歩調を合わせる形で、消費者物価の前年比は「プラスに転じていくと見られる」と見込んでおり、実際、総務省が6月28日に発表した5月の消費者物価指数(生鮮食品除く総合指数、コアCPI)は前年同月比で0.0%。7カ月ぶりにマイナス傾向の歯止めがかかっている。ただし、食料とエネルギーを除く総合指数は5月時点でも前年同月比でマイナス0.4%と水面下のままだ。コアCPIがマイナス圏を脱した大きな要因は電気代の上昇であることに注意を要する。

 CPIの下げ止まりについて、黒田総裁も「円安の影響もあって、エネルギーや資材価格、電気料金の上昇が、CPIの上昇に一定の影響を与えるのは事実」と認めるところ。賃金が上昇しないまま単純に物価だけが上昇するのは「悪い物価上昇」であり、そうした形でデフレを脱却しても誰も喜ばないだろう。黒田総裁もそこは認識しており、「持続的な形での2%の物価上昇が維持されるのは、賃金や生産、支出など全体がバランスの取れた形で上昇しないと、物価目標の達成にはならない」と会見で述べている。

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