トランプ相場に一喜一憂しない「金投資法」 高値圏で乱高下する株式よりも意外に安全?

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投資マネーによって押し上げられたコモディティ価格は、その後バブルが弾け急落した。同年9月にリーマンショックが起きたことも下落に拍車をかけた。当然、投資家は金融商品の売却を進め、株式とともにコモディティにも大量の売りが出た。関連の投資商品の価値は暴落し、2008年のコモディティバブル崩壊とともに消えてなくなったものもある。

こうしたこともあり、コモディティを投資対象として捉える動きは2010年代以降、ほとんど見られなくなった。そのため、投資マネーが価格を押し上げるといった動きも見られず、価格も低迷した。欧州債務危機など世界的な金融不安の高まりもあり、金は例外的にリスク回避から買われ、過去最高値を更新する動きになったが、それ以外の銘柄はリーマンショック後の安値からは大きく戻してはいたものの、高値を回復するには至らなかった。

その後、2014年夏場までは100ドル台で推移していた原油価格が、需給要因とドル高を背景に急落し、2016年初めには26ドル台を付けるなど、きわめて弱い動きになった。しかし、これらのような、需給要因以上に売られる動きは2016年前半で明らかに止まり、その後は底打ちから反発の動きに入ったことは周知のとおりだ。

つまり、2010年代前半に上昇・下落を繰り返し、軟調な展開が続いたコモディティ市場は、需給改善を背景に明確な底打ちをし、反発基調に入っているのである。この点に気づいている市場関係者は決して少なくないと考えるが、それを本格的な投資に生かすところまで踏み込んでいる向きはかなり少ないだろう。

過去15年の上昇率は株式を上回る

しかし、実は過去15年間の価格推移から見たパフォーマンスは、金が427%上昇と圧倒的に高く、原油も260%上昇、銅も387%上昇と、きわめて大きく上げている。この間のダウ平均株価の上昇率は197%であり、日経平均株価も187%にとどまる。これだけの差があるという事実を知れば、コモディティを投資対象から外すのは、きわめてもったいないと少しは感じていただけるのではないか。

まして、最近までの価格低迷からの反発余地が大きいことを考えると、今後のコモディティ価格の上昇に期待もしたくもなる。もちろん、コモディティは銘柄ことに需給の背景が異なるため、価格の動きも基本的には異なるのが通例だ。しかし、2000年代に入ってからは投資マネーの流入で、需給要因を無視して売買され、価格の乱高下を繰り返してきた。しかし、最近はようやく需給要因が改善し始め、基本的なコモディティの考え方で市場動向を見極めることができるようになってきた。つまり、コモディティの常識がそのまま価格に反映され、投資もしやすくなってきた。

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