テスラの工場は「普通のメーカー」と全く違う フリーモント工場を見学してわかったこと

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モデルSのサイドライン。豊かな造型のアルミボディは、この工場で作られる(写真:筆者撮影)

作られた部品はその場でレーザー計測され、すぐに調整ができるようにしているという。また、加熱と風で型を作る装置を導入しており、たとえばテスラのコンセプトカーを作る際でも、工場で実際に走る車として作ることができる。デザインと製造の距離の近さが重要なポイントで、シートひとつから自社生産している自動車メーカーは米国でもなかなか見つからない、と広報担当者は胸を張る。もしも完成車に改善点が見つかれば、瞬時で生産ラインに反映させるというスピード感を実現しているのだ。

日本生まれのロボットが活躍している

ロボットアームが精密に車体を接着もしくはレーザー溶接で組み立てていく(写真:筆者撮影)

ボディの製造工程には、左右のパーツがそれぞれロボットにより組み立てられて工場の中央でその2つが接合される、というストーリーが隠されていた。

アルミニウムは接着との相性がいい。また溶接痕を小さくできるレーザー溶接を採用しており、これらはテスラの自動車製造のひとつの特徴になっているという。

溶接や組み立てを正確に行うオートメーションはドイツと日本の製造ロボットによって実現している。ファナック製の2台のロボットが協調して車体を持ち上げ、立体的に組まれているラインの上下移動をこなす様子を見学することができた。このライン上下動のロボットコミュニケーションは、テスラ独自の技術だという。2台セットで動作するファナックのロボットには、マーベル社の人気コミックのキャラクターの名前(たとえばサンダーバードとサイロックスのコンビ)がつけられている。

ボディ工程のハイライトは、なんといってもSUVタイプのモデルXのファルコンドアの取り付け。大きく重たいドアを吊すロボットはもちろん独自にカスタマイズしたもの。できあがりの車以上のダイナミックさを見せつけられた。

テスラは新興自動車メーカーだが、3万5000ドル(約400万円)の「モデル3」はすでに50万台以上の予約が入っており、生産能力の増強は急務となっている。筆者が見学をした際にも、まだ生産が始まっていないモデル3のライン準備を進めているのが見て取れた。

最後はいよいよ組み立て工程に入る。

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