堀江貴文氏「僕が漫画をひたすら読む理由」 未来をつくる知識は、こうして身につける

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学校から帰ってくると、深夜まで私はパソコンにかじりついてプログラミングをしていた。親には「勉強につかうものだ」「これからはコンピュータの時代になる」などと話していたが、実のところ、私はただプログラミングをするのが楽しかった。私の知的好奇心を満たしてくれる最高の遊びだったのだ。

英数字のプログラミングをするだけで、きれいな絵を表示させたり、音楽を鳴らしたりすることができる。当時友達の間でブームに湧いていたファミコンなんてそっちのけで没頭できた。

誰かがつくったゲームの世界ではなく、自分でゲームの世界をつくってゆく面白さに、夢中になった。コンピュータがつくりだす未来に想像が膨らみ、無機質な英数字のプログラミングの向こうに、総天然色の夢がきらめいて見えた。そうして私は、パソコンをグレードアップしながら当時の標準言語「BASIC」はもちろん、様々なマシン語を覚え、より高度なプログラミングをマスターしてゆく。

私の遊びはその後、時価総額何兆円というIT企業の価値を支えるプログラマーの仕事になり、彼らの生み出した様々なサービスは私たちの生活をより豊かにしている。

「遊びの中」に未来がある

私がMSXパソコンで遊んでいた頃、ほとんどの大人はコンピュータがIT産業をつくり、インターネットで結ばれた世界中で仕事を生み出していくことを想像すらしなかっただろう。しかし結果として、私が遊びの中で見た未来は、実現した。

カタカタとキーボードを叩いてプログラミングをしていた、MSXパソコン越しに未来を見ていた視線のまま、私は大人になって、IT企業を起業して、今も同じ目線で未来を見ている。あの頃に得た様々なインスピレーションは、今もIT産業のこれからを知る上で大切な知識になっている。

こうした知識を、想像力をつかって描き、フィクションとして伝えることのできる作家にはいつも驚かされる。たとえばマンガの中に描かれる世界がそうだ。

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