ヨネックスが中国を攻略した「マーケの秘策」 バドミントン用品で攻勢、次はインド市場

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こうした販促効果もあり、ラケットでは高価なトップモデルに加え、普及用のモデルも売り上げを伸ばしているという。「中国は堅調に成長しているし、もっと伸ばせる。競技人口からみてもそれだけの市場があると思っている」(連下常務)。

中国ではトップ選手を招いたジュニア向けのイベントなども開催している(写真:ヨネックス提供)

中国を中心としたアジア事業は右肩上がりで成長している。中国は2015年4月に子会社による直販体制に切り替えているため単純比較はできないが、2016年度の第2四半期(4~9月)の売上高は前年同期の25億円から88億円に急拡大。同じく利益も5.5億円から12.8億円に伸びている。

こうした需要拡大に対応し、昨年4月には総額約25億円をかけて新潟県長岡市に第二工場を建設。今後もライン増設を続け、5年後に稼働前の1.5倍の生産能力に拡大する予定だ。

インドは激安ラケットで攻める!

中国に続いて照準を定めるのはインドだ。バドミントンの競技人口は2000万人と中国に次いで世界第2位級。2016年5月に現地の製造子会社を設立、販売代理店を使い、主に初心者・中級者層に向けて1000~2000円の普及価格帯ラケットを製造する予定だ。

実は、ヨネックスにとって普及価格帯のラケット製造は新たな挑戦になる。ヨネックスが強みとするのは2万~3万円台の中・高価格帯ラケットで、世界トップのシェアを誇る。

ただ、所得水準の低いインドは、安価な価格帯のラケットに需要があり、ヨネックスも製造体制を整える必要があった。新たな投資となるが、連下常務は「インドでヨネックスラケットの愛用者を獲得することは、将来的には、現在日本で生産しているような選手用(高価格帯)ラケットの販売増大にもつながると考えている」と語る。

現地の製造子会社が工場を本格稼働させるのは2017年春。高付加価値のラケットを軸に認知度を高めた中国以上に、インドではコストコントロールが重要になる。代理店を通じた販売という点も中国とは異なる。課題を乗り越え、ヨネックスはインドでさらなる成長の足掛かりをつかめるか。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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