パナソニック、EV用電池「大バクチ」の勝算 1500億円投資でテスラと"一蓮托生"に

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テスラの現行の主力である「モデルS」。2017年半ば以降、「モデル3」の生産を予定している(記者撮影)

「ビジョナリストはこうも楽観的なのかと驚かされる」――。

パナソニックの津賀一宏社長は2016年末、「一目置く経営者は誰か」という記者の質問に対し、EV(電気自動車)ベンチャー・テスラモーターズのイーロン・マスクCEOを挙げてこう評した。

パナソニックとテスラの付き合いは、EV用電池の開発で協業を始めた2009年にさかのぼるが、その関係は今年さらに深化することになる。

年始早々の1月4日、津賀社長とマスクCEOは米ネバダ州にあるテスラの巨大電池工場、ギガファクトリーの開所式に揃って出席した。同工場では、パナソニックがテスラのEV「モデル3」向け電池セルとテスラの蓄電システム向け電池セルを生産。テスラはそれらを用いて電池モジュールの生産を行う。ギガファクトリーへの投資額は公表されていないが、テスラ・パナソニック・ネバダ州による投資総額は5000億円にのぼるといわれている(現在の工事進捗率は3割程度、段階的に増設予定)。うちパナソニックは1500億~1600億円程度を拠出するものと見られる。設備投資としては、過去に巨額投資の末に撤退を余儀なくされたプラズマディスプレイ関連の約6000億円に次ぐ規模となる。

成長戦略の柱は車載事業

開所式でマスクCEOはギガファクトリーについて「ハムスターでいうと500億匹入る大変大きな土地」とジョークを飛ばしつつ、「EVを長期にわたり安く提供するためにこの工場が必要」とその重要性を強調した。

パナソニックは成長戦略の柱に車載事業などBtoB事業を据えており、中でも車載用電池事業は今後EV市場の拡大に伴い成長が見込まれる重要分野としている。2015年度の車載電池事業の売上高は1800億円だが、2018年度には4000億円まで拡大させる計画だ。計画達成はテスラのEVが今後どれだけ売れるかにかかっている。

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