IT企業が「自動車」へと目を向ける必然理由

「CES」で見えた最新技術トレンド

もっとも、CESの主役が自動車業界に移ったというわけではない。自動車関連展示の増加は、あくまでCESの変化を象徴する動きでしかない。総合電機メーカーがCESの主役であることは同じだ。しかし、リーダーシップを執る企業は見当たらない。が、かつての主役だったテレビは、事業規模を小さくしつつも収益性改善の糸口が見え始めている。

CTAがGfkと共同で発表している数字によると、テレビの出荷台数は2014年の2億4900万台をピークに緩やかに減少し昨年は2億2800万台だったが、その間、平均売価の低下から売り上げは1410億ドルから1080億ドルへと大幅に減少している。

その一方で高画質の4Kテレビは大幅に増加。今年は昨年に比べ売り上げ台数で51%増の1560万台、売り上げも38%増の146億ドルとなる見込みだ。市場全体に対する割合はまだ少ないが、一方で高付加価値製品が売れる市場でもあり収益性は高い。ソニーが万年赤字だったテレビ事業を立て直せたのも、普及型モデルで台数シェアを狙うことをやめ、高付加価値製品にフォーカスしたためだ。

背景には“映像を愉しむためのデバイス”の変化がある。

グローバルで映像ストリーミングサービスの普及が進み、映像を閲覧するために使うデバイスとしてスマートフォンが台頭しているが、とりわけ北米でのストリーミング視聴への移行は速い。2012年には映像を愉しむデバイスのシェアで62%だったテレビは、2016年に51%まで減少。一方、スマートフォンは16%から21%へと増加している。ノートパソコンが5%から12%へ、タブレットが3%から7%へと増加しているのと合わせ、カジュアルな映像体験を得るデバイスとして、テレビ以外のデバイスが伸びている。

「高付加価値製品」と「普及型製品」に二極化

テレビは自ら選んで購入する高付加価値製品と、目的のサイズや価格帯ならばブランドにこだわらない普及型製品で購買行動が大きく二分化されている。前者は店頭比較や画質レビュー記事などを参考に慎重に自分でメーカーを選んで購入するが、後者はスマートフォンからのクリックで実物を見ずに購入する。モメンタム(勢い)が落ちているのは後者で、ストリーミング視聴の普及から“テレビ”であることにこだわらない消費者が増えたことで普及価格帯のテレビ市場が侵食されている。

昨年、高級液晶テレビのブラビアZ9Dシリーズが好評を得たソニーは今年のCESで有機EL(OLED)テレビを発表。同じく欧州向けにOLEDテレビの新モデルを発表したパナソニック、OLEDテレビに社運をかけるLGなど、大手メーカーの高付加価値テレビへのシフトが進んでいるのは、ローエンド市場が剥げ落ちた新しいテレビ市場が形作られる中での必然と言えるだろう。

同様の動きは一歩先にスマートフォンの影響で市場縮小が進んでいるデジタルカメラ業界でも起きており、エントリークラスのカメラが売れなくなる中、高付加価値のレンズ交換式あるいはプレミアムコンパクトと言われるジャンルのカメラで独自性を出しているメーカーは着実に収益性を高めている。

一方でスマートフォンやタブレットをめぐる動きはかなり鈍化している。

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