デキるビジネスマンは「STEAM」を学んでいる 今からでも間に合う、成毛流「出直し」大作戦

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「ブラタモリ」は地学(地球物理学)と郷土史(歴史学)を同時に学習する番組に仕上がっている。学校教育も大人の学びも、この方向にするとよいのかもしれない。

子供に対してもサイエンスと歴史などを同時に教えたらいいと私はずっと思ってきた。たとえば、北アジアの遊牧騎馬民族「フン族」の大移動だ。気候変動によって民族移動が起こり、それによって多くの戦いが引き起こされたとされる。

たとえば1815年に起こったインドネシアのタンボラ山噴火。噴火規模は過去1600年で世界最大だった。結果的に1816年は、世界的に夏のない年になった。

あまりの寒さにスイスで休暇をとっていたイギリスの小説家たちは、家に引きこもって恐怖小説の競作で遊んでいた。そこで生まれたのが「フランケンシュタイン」と「ヴァンパイア」だったのだ。

このように自然現象と文明や文化には深いつながりがある。しかし、その後の人類が生み出した科学技術は自然現象以上のインパクトを与えつつある。

数百年後の歴史学者は、AIやロボットをフン族の大移動やタンボラ山噴火になぞらえて理解しているかもしれない。

私がSTEMを強調する理由はそこにある。

STEMとアート(A)が結びつく

今や米国の教育界でSTEMは常識になっているが、これに「A」を加えた「STEAM」という言葉も生まれている。Aはアート(芸術)のAだ。

一方でビジネス界では「デザイン戦略」という言葉が、当たり前のように使われるようになってきた。平たく言うと、"カッコいい商品をつくるにはどうするか”ということ。過去に言われてきたデザイン戦略とは少し意味合いが違っている。

現在のデザイン戦略は、顧客とのコミュニケーションや仕事の進め方そのものもデザインすべきだという考え方に基づいている。そのためにフローを再構築することを意味している。

さらに、これまでは設計や製造に押されがちだった商品やサービスのデザインを、よりデザイン優位で見直すという意味合いも含んでいる。

このとき、デザインをする側はSTEMを理解している必要があるし、STEMを専門としている人は、A(アート)を理解しなければならないだろう。

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