「ブロックチェーン」は世界をこう一変させる 仮想通貨の技術が国境を越えて駆け巡る時代

拡大
縮小
仮想通貨(ビットコイン)に使われているブロックチェーンは、政府から個人まで、生活を激変させるかもしれない(写真:TAKUMI-CG / PIXTA)

ブロックチェーンは「帳簿(または台帳)のイノベーション」といわれる。台帳や帳簿といえば、以前は紙ベースで記録されていた。だが現在では金融機関などで、台帳はデジタル化して1箇所に、または地震などに備えたバックアップ施設と2箇所程度に、厳重に記録され、保管されているものが多い。

しかし、ブロックチェーンの技術はあくまで、そうしたデジタルデータを取引参加者全員が共有する。仮想通貨の「ビットコイン」の技術に使われていることで、ブロックチェーンは注目されるようになってきたが、実はさまざまな分野で活用が予想されている。いったい、ブロックチェーンのどんな特性が注目され、どんな分野で使われようとしているのか。そしてそれによって、私たちの社会がどう変わるのか、探ってみたい。

「分散」「合意」「共有」がコンセプト

まずブロックチェーンの呼び名は、カネやモノの取引の履歴データを要約しながら一塊のブロックとして集約し、そのブロックをチェーンとしてつないでいくことに由来している。

仕組みを簡単に述べると、以下のようになる。ブロックチェーン・ネットワークの参加者は、カネやモノの取引をすると、それらの取引データをブロックにして、各参加者のパソコンなどで保管する。各参加者が保管するデータは同じでなければならないので、相互にブロックのデータが同じであることに合意しながら、参加者全員がすべての情報を共有していく。「分散」「合意」「共有」というコンセプトがブロックチェーンの特徴だ。もともとブロックチェーンは、ビットコインを起源とした技術であり、中央集権的な組織や国家に依存せず、誰でも参加できる取引の実現を目指して生まれたものなのである。

そのメリットは、①過去の情報からのデータを要約し、新しいデータを加えながらブロックをつなぐため、データの改ざんが難しい、②分散型ネットワークなので、ある人のパソコンが壊れても、他の人が同じ帳簿を持っているので障害に強い、③個人と個人が直接結びついて取引ができ、銀行や仲介会社を介さずに送金などができるため、仲介コストが省け迅速に取引できる、といったものだ。

次ページエストニアでは医療や納税・投票も
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT