誰にも言えない「排尿問題」とどう付き合うか 悩んでいるのは女性だけではない

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正常な状態では、膀胱が満タンになると脳に信号が送られ、排尿する必要があることが徐々に体に伝えられる。通常は膀胱の筋肉が排尿のために収縮するまで、トイレを見つけるだけの十分な時間がある。

ところが、ときに膀胱の筋肉が自分の意思とは関係なく収縮し始め、急にトイレに行きたくなることがある。これは膀胱が満タンでなくても起こり、たとえば膀胱がカフェインやアルコールを過剰に摂取したことで刺激されたり、便秘になって便で圧迫されたりすることでなる場合もある。

男性の場合、尿を膀胱から運ぶ尿道は、ドーナツ状の前立腺でぐるりと囲まれている。前立腺が肥大すると尿道は圧迫され、すると膀胱の壁が厚くなり、過活動になったり収縮機能が低下したり、膀胱が完全に空っぽにならずに頻繁に尿意をもよおしたりするとエネムチュクゥは言う。

一方の女性は、膀胱を支える骨盤内の筋肉が出産などによって衰え、膣から臓器が出る骨盤臓器脱になると、尿を出しにくくなったりする。

生活習慣で症状を改善できる

いま基礎疾患がなくても、過活動膀胱を発症するリスクは年齢とともに増加するが、エネムチュクゥによるとその原因はまだ明らかになっていない。しかし、単に年齢を重ねることや、母親が過活動膀胱だったというだけで、あなたも過活動膀胱になるというわけではない。過活動膀胱のリスクを軽減させる治療法は多々あり、リスクをなくせるものも少なくない。

米国泌尿器科学会は、効果的な治療のためには問題の正確な性質や要因を突き止めるための徹底的な評価から始めるべきだと指摘している。メイヨ・クリニックは、医師の診察を受ける前に「摂取した水分の時間、量、種類と、排尿した時間、尿意を感じたか、失禁したかどうか」などを数日間記録することを推奨している。

病院での検査は、排尿の量やスピード、膀胱が満タンのときの膀胱内の圧力などを計測する。排尿後の残尿を確認するために超音波検査をすることもある。

原因が何であれ、日常生活でできることからは始めるのがいいと専門家は言う。骨盤底筋を強化する「ケーゲル体操」を規則的に行うことは女性にも男性にも効果があり、膀胱の筋肉が無意識に収縮しないようになる。ただ、効果を感じるには数カ月がかかる。肥満の人で失禁に悩んでいる場合は、減量することで症状が改善するかもしれない。

いつ、何を、どれだけ飲むかは非常に重要だ。膀胱を刺激しやすいカフェイン、アルコール、人工甘味料は避けたほうがいい。夜中にトイレに行く回数を減らすために、水分を多く摂るのは1日のうちの早めの時間帯にし、晩には水分の摂取を減らす。残尿感があるときは、トイレに行ったら2度排尿するようにしよう。最初に排尿したら数分待ち、膀胱を空にするためにもう一度排尿する。

抑えられない尿意を感じるまで待つよりも、決まった時間に用を足すことが効果的であることは、多くの研究で明らかになっている。例えば毎日2~4時間おきに同じ時間にトイレに行くようにするのだ。膀胱により多くの尿を貯め、尿意をコントロールできるようにするため、排尿する間隔を徐々に広げるのもいいだろう。

(執筆:Jane E. Brody記者、翻訳:中丸 碧)

(C)2016 The New York Times News Services

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