トヨタ式が根本から撤廃目指す「7つのムダ」 創造力を使い切れば「つまらない仕事」はない

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問題はそのとき限りの解決ではなく、再発しないように問題の発端から取り除く必要があります。一度出たもぐらの頭が二度と出ないように、穴をふさいでしまうことが大切なのです。

欧米にはかつてなかった考え方

大野さんは職場のムダを7つに分類しました。

1.つくりすぎのムダ
2.手待ちのムダ
3.運搬のムダ
4.加工そのもののムダ
5.在庫のムダ
6.動作のムダ
7.不良を作るムダ
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「7つのムダ」の考えはリーン生産方式でもそのまま用いられていますが、アメリカ企業では8つめのムダを追加しているところがあります。それは「人々の智慧と創造力を利用しないことのムダ」。日本では、現場の人たちの智慧と創造力を活かして、つねに「創意と工夫」をするように激励していますが、欧米にはかつてその考え方は見られませんでした。

しかし、一部の会社では、現場主体のカイゼンの取り組みも進みつつあります。人は誰にも創造力があります。それを最大限に使って仕事の創意工夫をしていけば、この世に「つまらない仕事」などないのではないでしょうか。

今、日本では長時間労働是正のために「ワークタイムバランス」「働き方改革」「業務の効率化」「生産性向上」「ノー残業デイ」という言葉が飛び交っています。カイゼンして仕事を減らし自分の時間を手に入れる、カイゼンして部屋を片付けて気持ちのいい生活を送る。「カイゼン」にはあるべき姿=理想像」があり、どんなに現状が遠くとも、少しずつ一歩ずつ現状を理想に近づけようとすること、それがカイゼンなのです。

狩野 玲子 国際通訳/LMN代表取締役

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かのう れいこ / Reiko kanoh

1955年静岡生まれ。株式会社LMN代表取締役。兼高かおるに憧れ、慶応大学卒業後にイギリスへ留学。同時通訳となり、アメリカのプロダクティビティ社に就職。その縁でトヨタ生産方式を開発した大野耐一の通訳などをつとめることとなり、やがて大野の愛弟子・岩田良樹の通訳としてアメリカほか14カ国にカイゼンを広める現場に立ち会う。

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