トヨタ小型バス、「24年ぶり」全面改良の理由 誰でも一度は乗った「定番バス」の開発秘話

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トヨタ自動車が24年ぶりにフルモデルチェンジした新型「コースター」(記者撮影)

ホテルや幼稚園、保育園の送迎、テレビ局のロケや葬儀など、あらゆる場面で誰でも一度は乗ったことのある「定番バス」の新型がお目見えした。

トヨタ自動車は25人乗りの小型バス「コースター」を実に24年ぶりに全面改良し、2017年1月に発売する。価格は594万~887万円で、全国のトヨタ店などが扱う。12月22日にはユーザーである法人顧客を集めて発表会を行った。「オーナーの皆さんに進化を体感してほしい」。トヨタCV(商用車)カンパニーの増井敬二プレジデントは自信を示した。

小型バスではトヨタが世界シェアトップ

1963年にライトバスとして誕生して以来、コースターは50年以上販売されてきたロングセラーモデルだ。1969年のモデルチェンジを機に現在の車名に改称。現行モデルは1993年に発売された3代目だ。日本だけでなく世界110以上の国と地域で年間約2万台が販売されており、累計販売台数は55万台以上に上る。トヨタは小型バスで世界シェア首位だ。

今回の全面改良で重視したのは安全性と快適な室内空間だ。コースターの販売台数のうち8割以上を占める海外では、鉱山などの作業員を運ぶバスとして砂漠や悪路を走ることが多いほか、乗り合いの路線バスとして数十万キロを走ることも普通だ。

旧型のコースターは少し丸みを帯びた外観だ

こうした厳しい環境にも耐えられるよう、ボディの強化を図った。ボディ構造は屋根、側面、床の骨格をつないで一体化した環状骨格を新たに採用したほか、軽くて強度の高い高張力鋼板(ハイテン)も導入。バスのボディ強度における世界的な安全評価基準を上回る高剛性を実現したという。

新型コースターの車内空間を現行モデルと比較(写真:トヨタ自動車)

一方、室内空間を広げて快適性も向上させた。従来に比べて角張った外観にすることで、室内高を60ミリ、室内幅を40ミリ拡大させた。車窓を楽しみたい観光ビジネスの需要もにらみ、窓の高さも50ミリ広げた。

従来型と新型を比べてみると、新型ではシートの座り心地と車内の広さが大きく違っていた。窓側の席はひじも置けて圧迫感がない。さらに高級グレードは低反発ウレタンを採用し、着座時のフィット感がいい。シート表面のダブルステッチで高級感も感じられる。

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