これが菅原道真の怨霊!妖怪たちと涼む夏 怖いようで、愛らしい

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ガイコツを操るお姫様

最後は、独創的な構図で人気の高い歌川国芳の『相馬の古内裏(ふるだいり)』。相馬の古内裏とは、平安時代の武将、平将門が下総国相馬に京都の御所を模して建てた屋敷のこと。将門は乱を起こすが鎮圧され、相馬の古内裏も焼かれて廃屋となっていた。

ところが、将門の娘の滝夜叉姫が父の遺志を果たそうと妖術を使って仲間を募り、古内裏に夜な夜な妖怪が出没するようになった。そこで武術に長けた大宅太郎光圀が退治に出向き、骸骨に襲われる場面だ。

歌川国芳画『相馬の古内裏』 
江戸時代 公文教育研究会所蔵 (8月4日まで展示)

左にいるのが姫、中央が大宅太郎光圀、右は姫を守ろうとする荒井丸。お話では無数の骸骨に襲われるが、国芳は巨大な骸骨を一体登場させて、迫力ある1枚に仕上げている。

これらの絵巻や浮世絵のほかに能面、安倍晴明と妖怪のフィギュアなどもあり、中世から近世への妖怪の移り変わりを見ることができる。

人の心の暗部や不安から生まれたという妖怪だが、ユーモラスなものが多く、昔の人がいとおしく感じられる。水木しげるの『妖鬼化』の原画25点も見応え十分。子供向けのワークショップや割引もあるので、夏休みを涼しく過ごす場所としてもおすすめだ。

 

大妖怪展――鬼と妖怪そしてゲゲゲ」

7月6日~9月1日 展示替えあり
 前期:7月6日~8月4日
 後期:8月6日~9月1日

三井記念美術館
東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
10:00~17:00(入館は16:30まで)
月曜休み(7月15日と8月12日は開館し、7月16日は休館)
一般1200円、大学・高校生700円、中学生以下無料
7月20日~8月25日に中学生以下の子供と来館すると、保護者1名の入館料が600円に割引される。


 

仲宇佐 ゆり フリーライター

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なかうさ ゆり / Yuri Nakausa

週刊誌のカルチャーページの編集・執筆を経て、美術展、ラジオ、本などについて取材、執筆。全国の美術館と温泉をめぐり歩いている。

 

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