「英語を聴ける人」がコッソリやってる練習法 今年こそ上達!「ものまねメソッド」のすすめ

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実際にマネをする際は、短めの文章で慣らしていくのがお勧めです。文が長すぎると感じるようであれば、キリの良いところでいったん止めて、モノマネをするように、聞こえたまま発音してみてください。一度でうまくできなかったら、いったん巻き戻して、また再生、そしてマネる。またできなかったら、もう一度巻き戻して再生、これを繰り返してください。

ひとつの文に対して、「もうベストは尽くした」「これ以上は聴けない」と感じたところで、初めてテキストを見て、何を話していたかの確認をします。

テキストを見ると、いろいろな気づきがあると思います。「何だ、この文に使われている単語は、全部知っているじゃないか!?」そんな感想をもたれることも少なくないはずです。

文字になっていれば意味がわかるにもかかわらず、文字を伏せた状態だと聴き取れないのであれば、語彙力の問題ではなくて、音の感覚がずれているのが原因です。

次に「ネイティブはどういう発音をしているんだろう」という観点で、もう1度再生しながら、音をマネしてみてください。すると、「母音は直前の単語の終わりにつながって発音されるんだな」とか、「Hは日本語のハヒフヘホよりずっと弱く発音されるんだな」という、発音の法則や傾向が少しずつわかってくるはずです。

このように、いままで間違って認識していた英語特有の発音を少しずつマネしながら体得していくと、だんだんと脳内にある英語の音のイメージが補正されて、ネイティブが発話してくる音も聴けるようになっていきます

英語らしい発音をする2つのポイント

練習を繰り返しても、なかなか英語っぽい音で発音できない人がいます。そういう人は「下アゴを使いすぎている」傾向があるので、なるべくアゴが下がらないようにして、喉や唇を使いながら発音するように心がけましょう。

たとえば、「time」という単語。これを日本語と同じように発音すると、タイムの「タイ」のところで、アゴが落ちてしまい、本来の英語らしい音からかけ離れてしまいます。一方、アゴを下げずに唇を立てるように発音すると、「トゥァィム」のようにネイティブっぽい音になります。

このようにアゴをあまり動かさないのが、ネイティブっぽい発音のコツです。日本語では、滑舌が悪くならないようにアゴを下げながら、一言一句をはっきりと発音しますが、英語を発音するときは、喉から引き上げてきた音を、唇の周りの筋肉を使ってコントロールするように、鼻にかかった音を目指すとそれっぽくなります。

もうひとつのコツは、「子音を意識する」ことです。英語では「子音を中心に意思疎通をしている」といっても過言ではないくらい、子音が大切な要素です。実際、英語での略字は、ほぼすべて子音で構成されています。たとえば、JAPANはJPN、LONDONはLDNと略されるのは皆さんもご存じでしょう。このような略し方をするのは、ネイティブが英語という言語を「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」のような母音ではなく、子音を中心に認識していることの現れです。

一方、日本語は、母音が8~9割を占めていると言われており、英語とはまったく異なります。このことを意識して、英語のときは母音を抑え、子音を強調するように心がけると、グッとネイティブの発音に近くなります。このようにして「音に慣れる」ことで、リスニング力は格段に向上していきます。

花田 徹也 TOEIC特化型スクール「花田塾」主宰

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はなだ てつや / Tetsuya Hanada

ビジネス・ブレークスルー大学経営学部専任講師。株式会社花田塾代表取締役社長。南カリフォリニア大学(University of Southern California)を卒業。コミュニケーション学を専攻し、帰国後は三菱商事を経て、英語教育に従事。現在は東京でTOEIC特化型スクール「花田塾」を主宰する他、国立大学での授業や企業向けの研修などを幅広く手がける。国際ビジネスの第一線で培った素養を生かし、実用的で今日的な英語コミュニケーションの手法を伝授。英語の音声に関する造詣も深く、発音やリスニングを含めた総合的で実践的な指導は他の追随を許さない。著書に『1駅1題 新TOEIC TEST文法特急』『新TOEIC TEST 文法特急2 急所アタック編』(朝日新聞出版)、『TOEICテスト超リアル模試600問』(コスモピア)などがある。

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