「マリオラン」がポケモンを超えられない理由 難易度に対して「報酬」が低すぎる

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1.買い切りシステムのハードルの高さ

まず、スーパーマリオランはステージ「1-3」までプレーをすると、突然、1200円払わないと続きのステージができなくなる仕組みになっています。

一度課金をすれば、それ以上、課金をする必要はないことを、任天堂や任天堂クリエイティブフェローの宮本茂氏は明らかにしていますが、ある程度遊んでゲームが気に入ったら本編を購入するというこの仕組みは、家庭用ゲームにおける「無料体験版」と「セーブデータ引き継ぎ可能な本編」というビジネスモデルに似ています。

これは、スマホゲームで一般的な「課金までのストーリー作り」や、「疑似課金行為に慣れさせてからの課金」とは大きく逸脱しており、突然の課金要求という「新しい体験」をスマホゲームユーザーに強いています。

ここまでやったんだから課金しないと、であったり、無料ガチャでゲームを進めていくうちにゲームを有利に進めるために有料ガチャがしたくなるような、課金への流れがいっさいないのです。

「ポケGO」のほうがスマホゲームらしい

そういう意味では「無料ガチャ」にあたる「ムゲンふかそうち」がある「ポケモンGO」のほうがまだ最近のスマホゲームらしいといえます。

カプコンのスマホゲーム(たとえば「逆転裁判」シリーズ)のように、徐々に課金していくグラデーションがあっていいのでは――と思うわけです。

2.ゲーム自体の難易度の高さ

ひと言で言うと、このゲームは「ロックマン世代」向きの高難易度となっています。

2009年に「New スーパーマリオブラザーズ Wii」に「スーパーガイド」というゲームプレーが苦手な人向けの、クリア補助機能が実装されたときには、いわゆる「スーパーマリオ世代」から「ロックマン世代」まで、「とうとう任天堂のゲームにもゆとりの波が……」と話題になりましたが、今回の「スーパーマリオラン」は正直難易度が高すぎます。

僕はゲームデザイナーという仕事柄、年齢の割にはゲームが得意なほうです。その僕から見ても、最初の5分で到達する「1-3」ステージのピンクコインやパープルコインの配置は、あと1ブロック場所をずらしたら、もっと一般的な難易度になるんじゃないかなと思うほどでした。

「ステージ攻略」を死にながら覚えていくランゲームが任天堂クオリティのステージ設計やレベルデザインで作られるということを、以前、わくわくしながら記事(任天堂がアップル発表会で放った「3本の矢」)で書かせていただきましたが、「買い切りシステム」同様、グラデーションがなさすぎて、片手間に遊ぶスマホゲームとしては、正直、調整を失敗したんじゃないかと思います。「ロックマン世代」にはちょうどいい感じだとは思いますが。

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