日本の女子ゴルフはアジアを取り込めるのか 賞金総額「2億円大会」も誕生で、成長に勢い

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2016年に、女子ゴルフの国内ツアーで2年連続賞金女王に輝いたイ・ボミ選手(左)と21位の大山志保選手。イ選手の獲得賞金は約1億7500万円、大山選手は約4000万円だった(写真:日刊スポーツ/アフロ)

男女プロゴルフツアーの2016年シーズンが終了したと思ったら、もう2017年のスケジュール発表が行われた。女子ツアーがまたも賞金総額で史上最高記録を塗り替えた。男子はほぼ現状維持で、来年も女子ツアーに賞金の総額で後れを取る。

女子ツアーの会見。発表に当たってあいさつに立った日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の小林浩美会長の声が大きい。試合数はツアー競技38試合と2016年並み(2016年は熊本地震で1試合中止の37試合)だが、全賞金総額では2億9053万円増(熊本地震で昨年は中止になった大会分を含む)の37億1500万円。

なんといっても「2億円大会」が初めて誕生した。「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」が6000万円アップの賞金総額2億円になったのだ。優勝賞金は3600万円。4日間大会だから、優勝したら「日当900万円」。何とも景気のいい話だ。

小林会長が強調したのは「賞金総額は期待の表れ。いただいたもの(賞金)が役立っていると思ってもらえるかどうか」が大切なのだということ。もらえる額が多くなることで、ゴルフファン、ひいては社会に対して、選手たちの負う責任はより重くなるということ。サラリーマンでも昇給してポストが上がれば責任が重くなるのと同じことで、よりよいパフォーマンス、サービスを求められる。

新人教育が効いて、高まった女子ゴルフ人気

LPGAでは、前会長の樋口久子相談役の時代から、新人教育に重きを置いてきた。ファンやスポンサーを大切にし、どう喜ばせるか、ということを最初に教え込む。なので、プロアマ競技やトーナメント中でも、ファンやスポンサーの受けがいい。これが試合増や、6年連続の賞金総額増と、右肩上がりの成長につながってきた。

男子は「いい技術を見せること」がいちばんのファンサービスと思ってきた部分がある。確かにプロなので「技術」に最も価値がある。ただ、それとファンを喜ばせるのとは、たぶん少し違う。

今年3月に男子ツアーを主管する日本ゴルフツアー機構(JGTO)会長に就任した青木功は、ツアーに出る選手たちにサイン用のペンを自費で購入して配った。ファンからサインを頼まれたときに、すぐに自分のペンを出してほしいという気持ちからなのだが、そこから始めるのか、とも思った。サインするだけがファンサービスとは思わないが、青木会長の目には、それができないと始まらない、と映ったということでもあるのだろう。

その男子は2017年、ツアー試合数は24試合と2016年と同じ。アジアンツアーとの共催が4試合あり、うち開幕から2試合は海外(シンガポール、ミャンマー)で行われる。すべてを合わせた賞金総額は35億9475万円。賞金の増額は、2016年のストロークプレーからマッチプレーに試合方式が変更になった1試合だけで、1億1000万円増だった。

ただ、日程を見るとこの試合、1、2回戦と3回戦以降とで2週に分かれて7日間かけて行う。賞金が倍増するのもうなずける。ツアー競技にマッチプレーが復活したのは14年ぶりで、目新しいと思ってもらえるかもしれない。ちなみに、マッチプレーとは1対1で対決して、1ホールごとのスコアで勝った負けたをつけていき、18ホール(または36ホール)でホールをたくさん取ったほうが勝ちという試合形式を言う。

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