「バイオハザード」監督が語る完結までの14年 「これを観ると一作目を見直したくなる」

✎ 1〜 ✎ 105 ✎ 106 ✎ 107 ✎ 最新
拡大
縮小

僕は自分がハリウッドの監督だとは思っていなくて、インターナショナルなフィルムメーカーだと思っている。だから『バイオハザード』は日本をルーツとした物語であり、監督はイギリス人。主演はウクライナ出身の女優、という映画なんだ。しかも撮影場所は、1作目はベルリン、2作目はトロント、3作目はメキシコシティー、4、5作目はトロント、そして今回は南アフリカで撮っている。一応、北米が舞台の作品だけど、むしろアメリカ以外の目から見た、よりスタイリッシュなアメリカを国際的なキャストで撮っている映画なんだ。

妻でもあるミラを撮影するのは楽しい

Paul W.S. Anderson(ポール・W・S・アンダーソン)/1965年イギリス生まれ。1993年にジュード・ロウ主演の『ショッピング』で監督デビュー。その手腕を買われ、1995年に『モータル・コンバット』でハリウッドデビュー。さらにミラ・ジョヴォヴィッチ主演の『バイオハザード』を監督し、世界的な大ヒットを記録した。その他の監督作として『エイリアンVSプレデター』『デス・レース』など(撮影:今井康一)

――今回はファイナルと銘打っていますが、シリーズを振り返ってみて、どんな感想を抱いていますか。

長いストーリーを語るという点では、このシリーズはテレビドラマに似ていたかもしれない。テレビの場合は普通、時間はあるけど予算がない。映画の場合は普通、予算はあっても2時間でストーリーを語らなきゃいけないから時間がないことが多い。しかし『バイオハザード』で最高だったのは、テレビと映画、両方の世界を味わえたこと。この作品はほかのシリーズに比べてかなり時間をかけてこだわって作った。やはり最後の作品なので力強くありたかったし、それにふさわしい有終の美を飾りたいと思ったから。今回、アリスのものすごい秘密が明かされるわけだけど、きっとそれを見て、もう一度第1作を見直したくなると思う。そうなってくれるといいなと思っている。

――奥さまのミラ・ジョヴォヴィッチと撮影をするのは楽しい?

ミラを逆さづりにして、家族の問題を全部映画セットから追いやってしまうことほど楽しいことはないよね(笑)。今回の映画では、ザラザラとした、リアルな感じを残したいと思ったし、アクションもまっすぐに、スタイリッシュに撮るということを意識した。役者にとっては肉体的にすごくつらかったと思うけど、その分すごく良いものができたと思うよ。

壬生 智裕 映画ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT