2017年に勝率が高くなる「株式投資法」とは? 大波乱だった「2016年相場」から得られる教訓

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しかし、日本株は下落局面で2月安値との二番底を確認、その後は反発に向かった。安値を更新しなかったことに対する安心感もあり、株価はその後徐々に回復した。

そして、市場の最大の関心事だった米大統領選を迎えることになったわけだが、これもまた事前予想を覆すサプライズとなった。

歴史的な株価の上昇局面を予測できなかった理由

主要メディアは最後までクリントン氏の勝利を予想していた。だが結果は周知の通りだ。日本株は世界の主要市場で最も早く結果が反映されることとなったが、トランプ氏の優位が鮮明になる中、米国株の先物に売りが出て、ドル円も下落し、日本株もつれる形で下げた。しかし、ドル円が100円の大台を割り込まずに反転し、日本株も急落したものの、想定したほどではなかった。そこから買い戻しが入り、投票日翌日の米国市場では引けてみると大幅高となった。

当初はトランプ氏が勝利した場合、金融市場は混乱し、ドルは売られ、株価は大幅安になるとみられていた。確かに、最初の市場の反応としてはそのような動きになったものの、その動きはわずか1日で終わり、その日のうちにドルは上昇、株価もプラス圏で引けた。これはおおかたの市場当予想とは全く逆の動きであった。

トランプ氏の勝利はサプライズであったが、市場参加者はトランプ氏の登場を好意的にとらえ、それを株価に反映させる投資行動をとったといえる。民主党政権が続くことへの嫌悪感や破天荒に見えるトランプ氏の大胆な改革や行動・政策への期待が、その後の株価の急伸をもたらした。その結果、米国株は連日のように過去最高値を更新するなど、歴史的な上昇になっている。

残念なのは、この歴史的な上昇局面を正しく予測し、対応することが難しかった点である。筆者も含め、トランプ氏の誕生で下落基調に転じると考えていた市場参加者が少なくなかった一方、事実として米国株は急伸し、ドル円は急騰し、わずか1カ月あまりで17円も円安になっている。

このような動きになった背景には、それまで下落に掛けていた市場参加者のポジションの反転が影響している。また、さらにその後のドル円や株価の上昇局面で売り上がった投資家の踏み上げも、上昇に弾みをつけた可能性がある。これらの状況は、今になってみれば想像できなくはないものの、あらかじめ想定することができなかった。

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