南ア産の「オリーブオイル」は意外と侮れない 日本でもそのうち、お馴染みになるかも

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若手も育ってきている。カルー盆地にある家族経営のオリーブオイル会社レッタスクラールの経営者ヘスティー・ルートさんは海外でファッションデザイナーの仕事を8年間やった後に帰国。父親からマーケティングを任された。彼女は現在、農場経営から抽出、調合、ラベリング、販売に至るまでの全過程を担っている。

岩だらけの土地をオリーブ畑に

彼女の家族が購入した当時の農場には、やぎと羊があふれ、見渡す限りの岩が広がっていた。だが、「オリーブの木が茂るには石と沈黙があれば良い」とのイタリアの格言を踏まえ、彼女の父はトスカーナ原産の複数の品種を植えた。そして独特の力強さと苦みを兼ね備えた、ポリフェノールの多いオリーブオイルが生まれた。

ルートさんは、自社のオリーブオイルが、イタリア南部プッリャ州の産品に似ていると語る。「長くて乾燥した夏と寒くて湿度の高い冬がオリーブの風味を引き出す」からだ。

ケープタウンの「オリーブブランチデリ」(2016 Ilana Sharlin Stone)

彼女は収穫から抽出までを4〜5時間で行う自社製法に誇りを持ち「夜中であっても作り上げることが優れた品質をもたらしている」と語る。レッタスクラールは南アで多くの授賞歴があり、彼女はすぐにでも輸出したいと望んでいる。

ケープタウンには、約40社のオリーブオイル業者の製品が並ぶ「オリーブブランチデリ」がある。兄妹でこのデリを経営するオメロス・デメトリウー氏とヘレーネ・デメトリウーさんは、南アのオリーブオイル産業の表と裏を知り尽くしており、その将来は明るいと確信している。

執筆: Ilana Sharlin Stone (Zester Daily/Reuters)

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