急患の心電図送信システムのすごい威力

福井大医学部が開発、救命率の向上に評価

タブレット端末から医療機関に心電図などを送るシステム=福井県永平寺町の福井大医学部附属病院

福井大医学部が開発した、詳細な心電図や患者の画像をスマートフォンやタブレット端末で救急隊から医療機関に送る「クラウド型救急医療連携システム」が、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)の「MCPCアワード2016」で最高賞の総務大臣賞に選ばれた。急性心筋梗塞患者の救命率向上で成果を上げている点が高く評価された。

MCPCは、大手の通信会社、電機メーカー、システム関連会社、ソフトウエア開発会社など163社でつくる任意団体。モバイルシステムを導入して社会貢献、業務効率化などで成果を上げた事例を毎年顕彰している。福井大医学部のシステムは、総務大臣賞のほか、ユーザー部門のグランプリとモバイルパブリック賞にも選ばれた。

へき地の住民も大都市部と同じように

スマートフォンやタブレット端末で記録した心電図や患者、事故現場の画像を、インターネットのクラウドサーバーを介してやりとりする。救急隊は専門医の指示に基づいて救命処置できるほか、状況に応じて心筋梗塞の専門的な治療が可能な病院に直接搬送できる。病院側も患者の到着前から診断や機材、スタッフの治療準備を進められる。

福井県の嶺北、勝山市、大野市、南越、若狭の5消防本部と、福井大医学部附属病院(同県永平寺町)、福井循環器病院(福井市)、福井県立病院(同)、中村病院(同県越前市)、杉田玄白記念公立小浜病院(同県小浜市)の5病院が導入し、実証試験を行っている。福井大医学部附属病院ではシステム導入後、急性心筋梗塞の患者十数例の搬送に活用し、約10例でカテーテル(細い管)治療の早期開始につながった。

大学として公的な研究費を活用して開発しており、コストを抑えて管轄人口が10万人以下の消防本部でも導入できるようにしたのが特長。システム開発を担った福井大医学部の笠松眞吾・技術専門職員は「システムが稼働すれば、急性心筋梗塞の指定医療機関から離れたへき地の住民も大都市部と同じように短時間で治療を始められる」と説明する。

1月からは共同運用機関を全国から募り、将来的には事業型NPOの設立も視野に入れる。笠松さんは「一つの自治体、消防本部だけで導入が難しい場合は、都道府県単位の財政支援が不可欠。受賞を機に一層のコストダウンを図り、県内だけでなく全国の自治体と連携して普及を目指したい」と話している。

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