BMW「新型5シリーズ」は何がどう進化したか 先進的な安全・情報装備も一層充実した

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このうちリスボンに用意されていたのは、6気筒ガソリンエンジンのBMW540i sDrive Mスポーツ。もう1台は6気筒ディーゼルのBMW530d xDrive ラグジュアリーラインだ。前者は後輪駆動、後者は4輪駆動である。

はたしてドライブでは驚かされた。

540iの走りは気持ちよい。250kW(340ps)の最高出力と450Nmの最大トルクをもつ2998cc直列6気筒エンジンは、従来型より25kW(34ps)増のパワーと50Nm増しのトルクを特徴としている。アクセルペダルを踏んだときのエンジンの反応のよさから“すぱっと切れるよう”と表現されることもある、ウルトラスムーズな回転マナーという魅力は健在だ。低回転域から力がたっぷり出るうえに、回転をあげていくとクルマは猛烈な勢いで加速する。その感覚はスポーティセダン作りで最右翼に位置するBMWならではのものだ。

ディーゼルの530dはどうなのか

いっぽう2993cc (つまりガソリンとは別もの)の直列6気筒ディーゼルの530d(試乗車はフルタイム4WDのxDrive搭載)も負けてはいない。これも驚くべきことだ。195kW(265ps)の最高出力に加え、620Nmもの大トルクを特徴とする。1500rpmから2000rpmあたりの回転域で充分パワフル。回してもディーゼルとは思えない、なめらかな加速が味わえる。パワートレインは防音壁でカプセル化されているので音もきわめて低く、上質な感覚はガソリン車にひけをとらない。

どちらのモデルにも、オプションのインテグレイテッド・アクティブステアリング(後輪操舵機能つき)と、スポーツサスペンションが組み合わせられていた。有無の違いを論じられないのは申し訳ないのだが、2台の印象はすばらしくよい。ポルトガルでBMWが推奨してくれた道はストレートと、きつい曲率のカーブが組み合わされているのだが、全長5メートルになんなんとする4ドアセダンでありながら、540iも530dもへたなスポーツカー顔負けの速さで走るのだ。

いま高性能車の世界では、ハイパワーを効率よく駆動力に変えるためには4輪駆動システムがマストというのがトレンドだ。BMWも例外でなく後輪駆動とフルタイム4WDのxDrive(エックスドライブ)の2本立てだ。パワフルなV8のM550iは後輪駆動のみの設定というように伝統的に磨かれてきたよさもあるけれど、同じエンジンならxDriveのほうが加速の数値がよい。

ともに足回りはやや硬めの印象で、個人的にはもうすこし“あたり”がソフトなほうが好きなのだが、要はどう使うかである。多少のバイブレーションはあってもステアリングホイールに路面の状況をしっかり伝えるなどスポーツセダンづくりに迷いのないBMWのコンセプトを評価し、運転する楽しみを積極的に味わうなら、これでいいかもしれない。

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