眠るな危険!乗り過ごしたら大変な通勤列車 気付いたら隣の県や山の中・・・

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22時以降、完全に酔ってから乗るのにリスキーな列車は、毎週金曜日に運転される池袋22時30分発の西武鉄道の特急「むさし47号」だ。月曜日から木曜日までは飯能行として運転されるので、うっかり終点まで乗り過ごしても反対方向の列車はまだ池袋まで運転中。目的の駅に戻ることができる。

ところがこの列車、金曜日は西武秩父まで延長運転される。飯能に23時10分に到着し、23時13分の出発時間までに下車できないと、次は約30キロメートル先の横瀬まで止まらない。真っ暗な山の中を延々と走り、峠の長いトンネルを超えて横瀬に着くのは23時44分。もちろん、折り返す列車はない。

上野発の宇都宮線、高崎線の終電車も乗り過ごすと危険だ。宇都宮線は上野を23時38分に出発する宇都宮行、高崎線は上野を23時46分に出発する高崎行が終電だが、どちらも大宮から先の区間を走る最後の列車となる。

つまり、大宮からわずか3キロメートル先の土呂(宇都宮線)や、4キロメートル先の宮原(高崎線)へ行く最終電車でもあるのだ。上野から、土呂や宮原までの所要時間はおよそ30分。もし寝過ごしてしまったら……70キロ先の宇都宮や高崎まで行ってしまうリスクがある。

ちなみに、大宮から宇都宮線の久喜、高崎線の鴻巣へは、国際興業バスが深夜急行バス(大宮駅東口1時00分発、先着順・定員制)を運行している。バスが運行している区間に最寄り駅があり、今にも寝てしまいそうという人は、バス代が多少かかっても、大宮止まりの京浜東北線に乗車してバスに乗り継いだほうが安全だろう。

座れる列車に潜むリスク

関西地区で危ないのは、新大阪22時44分発の御坊行。新大阪から乗り換えなしで日根野、和歌山方面に向かえる上、新大阪から乗車の場合、始発なので座れるチャンスも大きい。だが、うっかり乗り過ごすと和歌山から紀伊半島を南下して御坊まで行ってしまう。こちらも日根野までの利用であれば、座れなくても大阪まで出て、大阪環状線から直通する日根野止まりの快速を利用する方がいいだろう。

もちろん、帰宅時には目的地へ一番早く着く列車に乗って、車内で居眠りせず、最寄り駅で下車出来るのがベストだが、ついつい寝過ごしてタクシー代がバカにならないという方は、これまでに挙げた列車への乗車は避けた方がいいだろう。

渡辺 雅史 時刻表探検家

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わたなべ まさし / Masashi Watanabe

1975年生まれ。フリーライターとして、週刊誌や月刊誌で記事を執筆するほか、テレビやラジオ番組の構成にも携わる。2009年、国内の鉄道に完乗。時刻表の誌面に載っている"変な列車"や"味のある列車"を探すことをライフワークとしている。

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