「将来の自分から感謝される」選択をすべきだ 決断とは「先に進む」ためにある

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いただいた文章を拝見していると、おそらくスズキさんはご出産などのライフイベント後も継続して仕事をされる前提なのかと思われます。加えて、やりたい仕事、ご自身にとってモチベーションの上がる仕事の種類もきちんとわかっているように見受けられます。そういったことを総合的に考慮して、現在の仕事を継続することと、転職されることの良しあしを比較検討してみましょう。どちらが将来の自分のためになりますか?

このように考えれば、判断基準は少なくとも明確になるはずです。それでは今度は、判断の主体や軸は誰か? つまり誰のための意思決定であるべきかを考えましょう。

私はきれいごとを抜きにして言うと、人生における判断は自分勝手であるべきだと考えます。自分にとってのベストをまずは考える、ということですね。

「時間の密度」を重視すべき

たとえば現在の職場では1年半しか経っていないと書かれていますが、自分主体で考えると時間という数字上の単位ではなく、そこで過ごす「時間の密度」を重視すべきなのです。人間24時間は皆平等ですが、その24時間の使い方には工夫の余地が大いにあります。

仕事における「時間の密度」とは、仕事時間を通じて学びにつながる濃い時間を過ごせているか、ということです。濃い時間が過ごせているのであれば有益な1年半でしたでしょうし、そうでないならば同じ1年半でももっと危機意識を持って、「そこで1年半も過ごしてしまった」と考えるべき時間軸です。

同じく、「家族の中で初めて中堅企業の安定した職に就く」と書かれていますが、これは判断軸が他人主体になっているように思われます。つまり、周りからそう見られるべく、そのコースを歩むというようになってしまっているようです。

そうでなく、究極的にはご自身の人生ですから、周りの期待などをベースに中堅企業の安定職に就くことを目的とするのではなく、ご自身のやりたいことの結果としてそういった状態になるというのが、本来あるべき姿でしょう。

そうしないと、ご自身にとっても、ご家族を含む周りにとっても、本当の幸せはつかめないのだと思います。大人の意思決定ですから、自分自身の価値観と基準に応じて判断をしないといけません。

なお、そのための具体的な生き方や考え方については、拙著『99.9%の人間関係はいらない』(中央公論新社)をご参照いただければと思います。

スズキさんがご自身にとっての幸せをつかむべく、自分自身の人生を歩まれることを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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