三木谷社長が入魂する「楽天モバイル」の実力 スーパーポイント大作戦は使えるのか

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しかも、獲得した楽天スーパーポイントは、楽天モバイルの毎月の料金支払いにも充当できるようになった。毎月の買い物に楽天のサービスを活用することで、ポイントを貯めて毎月の通信費を一層抑えられるようになっているのだ。

楽天モバイルを契約すると楽天スーパーポイントが貯まりやすくなるだけでなく、ポイントを毎月の通信料に使うこともできる。獲得ポイントによっては通信料を無料にすることも可能だ(写真:著者提供)

こうしたポイントの仕組みは、MVNOではほとんど採用されていないことから、大きな武器となっている。

これは、ユーザーの楽天サービス利用頻度を高め「楽天経済圏」へと取り込んでいくことにもつながっていく。楽天モバイルがスマホのメイン回線獲得を推進しているのは、そうした理由も大きく働いているといえよう。

大手携帯会社の後追いの面も?

このほかにも、楽天モバイルでは、積極的なテレビCM展開による知名度拡大や、スマホと回線、サービスをセットで提供する「コミコミプラン」の提供など、多くの施策を打ち出し積極的な顧客獲得を進めている。

一連の施策は多くのMVNOから見れば非常にコストがかかったり、リスクが高かったりするため消極的になりがちだ。だが楽天モバイルは、知名度と企業体力、豊富なアセットを活用し、ほかのMVNOが取り組まないことにチャレンジしたことが、顧客獲得につながっているといえる。

一方で、「楽天は大手携帯会社の戦略を後追いしている」との見方もある。ポイントを利用する一連の施策は携帯会社では一般的であるし、最近、端末価格の大幅値引き販売で集客するケースが目立っていることも、その理由だろう。それだけに、楽天モバイルとしては、規模拡大による経済圏拡大を追求しつつも、携帯会社にはない独自性をいかに打ち出せるかが、今後の課題となりそうだ。

佐野 正弘 モバイルジャーナリスト

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さの まさひろ / Masahiro Sano

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける

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