「外国人投資家はXマス休暇三昧」は都市伝説 12月「ラスト9日」に相場を動かす人々の正体

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たしかに、クリスマスは欧米を中心としたキリスト教徒にとっては神聖な行事であり、実際に欧米市場では売買が極端に細る。ただ、日本市場はどうだろうか?売買は同じく細るのだが、実は東京証券取引所が発表している投資部門別売買動向を確認すると、決して外国人投資家による売買の方向性まで乏しくなるわけではないことがわかる。そこで本稿では、アベノミクス相場スタート時の2012年末からの売り買いの傾向に注目してみたい。

12月も外国人投資家の売買には方向性がある

まずは今年1年間の外国人投資家による売買をあらためて確認しておこう。東証が発表している投資部門別売買動向(現物と先物合算)では、1月から9月にかけて6.9兆円売り越していたが、10月以降、買いに転じており、10月第1週から12月第2週(12月9日)までに4.4兆円買い越している。

「トランプラリー」のスタートは米大統領選直後の11月第2週目からなので、外国人投資家は早い段階から日本株に買いを入れていたわけだが、実際のところは季節的な要因が大きいと思われる。例年10月から11月は日本株に資金が流入しており、2012年は1.3兆円、2013年は3.2兆円、2014年は1.2兆円、2015年は1.6兆円それぞれ買い越しとなっている。

2012年10-11月はまだアベノミクス相場が始まっていない(厳密には11月中旬からスタート)タイミングでも買い越しとなっていることから、税金の還付金、ヘッジファンドの決算(都市伝説のような気もするが)などが影響しているのだろう。それでも今年は2013年の3.2兆円を超える金額(4.4兆円)の買い越しが入っていることは、日本株上昇の原動力と言えよう。

そして、2012年以降の米SQ通過後(12月第3金曜日)の海外投資家による売買を確認すると以下の通りだ。2012年(25-28日)は4573億円の買い越し、2013年(24-30日)は5927億円の買い越し、2014年(22-30日)は3175億円の買い越し、2015年(21-30日)は2479億円の売り越しと、完全には売り買いの統一性はないが、それぞれ大きな傾きが見られる。決してクリスマス休暇で積極的な売買が手控えられて方向性が乏しくなっているわけではない。

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