会社員ものめり込むラップブーム再来の実状 人気のプロ2人が内側を語り尽くす

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ACE:そうそう。やる場所が変わっただけで、やることは何も変わらないんですよ。

昔のラップは「怖い・悪そうな」イメージだった

――KICK THE CAN CREWやRIP SLYME、RHYMESTERといったラップグループのメジャーデビューが続いた2000年前後が前回のブームだと言われています。前回と今のブームの違いはなんだと思いますか?

1983年生まれ、東京都出身のヒップホップ・アーティスト。2004年デビュー。ドリーミュージック所属。MCバトルの大会に数多く出場し、2005年にB BOY PARK MC BATTLEで優勝。2010年と2011年には、ULTIMATE MC BATTLE(UMB)の全国大会で史上初の2連覇を成し遂げ、2013年からはUMBの総合司会者を務めている。最新著に『フリースタイル・ラップの教科書 MCバトルはじめの一歩』がある

晋平太:ラッパー個人の知名度は昔よりも高くなった気がします。ただ、それはアーティストとしてではなく、“タレント”として。前のブームのときのラッパーたちのほうがCDも売れていたし、紅白にも出場したりしていました。それがまだ実現していないところが個人的には歯がゆい。

フリースタイルのおかげで興味を持ってくれる人は増えたけど、楽曲やライブでも認められるようになって初めて日本にもエミネムみたいなスターが生まれるんだと思います。

ACE:だから今のブームをちゃんと維持して、あと2~3年したら紅白歌合戦にラッパーが出られるようにしたい。それが目標です。

――今またラップ人気が再燃し始めた理由はなんでしょうか?

ACE:昔はラップのおもしろさよりもどこか怖い・悪そうなイメージが先行していたんですよ。「怖い大人たちが暗いところで危ないことをやっている」みたいな。でも、そのネガティブなイメージが2012年からスタートした「高校生RAP選手権(高校による即興ラップの大会)」によって払拭されたからじゃないかな。その影響から若いラッパーやラップに興味を持つ人が増えて、2015年の「フリースタイルダンジョン」につながった。

そして、さらに前回のブームのときにラップを聴いていた人たちも興味を取り戻してくれた。彼らは現在社会人として活躍している最中です。そんな彼らの後押しもあって、ビジネスにもラップを取り入れようとする流れも出来ているんだと思います。

晋平太:10代の若者だけじゃなくて、30~40代の人まで巻き込んだブームはこれが初めて。そこはやっぱりZeebraさん(日本のラッパー。K DUB SHINE、DJ OASISとキングギドラを結成し、日本におけるヒップホップシーンを牽引)の手腕が大きいと思う。「高校生RAP選手権」も「フリースタイルダンジョン」もZeebraさんがプロデュースしたものだから。

ACE:そうですよね。

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