「アレッポ制圧」に見る大国の自分勝手主義

そして世界最古の街は瓦礫と化した

破壊されたアレッポ旧市街で10日撮影。この目は何を見つめてきたのか? (ロイター/Omar Sanadiki)

その7000年の歴史の中で、シリアの古代都市アレッポはバビロニア人、ギリシャ人、ローマ人による戦いの舞台となってきた。だが、この都市をめぐる最近の攻防は、過去に王国や帝国が繰り広げてきた戦いと同様、中東の未来にとって重要なものかもしれない。

アレッポをめぐる4年間の戦いは、最終段階に達したようだ。この世界最古の都市は、シリア内戦の震源地となった。シリア内戦が21世紀版のスペイン内戦なのだとすれば、アレッポは第2次世界大戦の恐怖に先駆けて1937年にナチスに絨毯爆撃された街ゲルニカのような存在だ。

ロシアの支援にも関わらず、シリア政府によるアレッポ奪回作戦はほとんど成功しなかった。逆に11日には、いったんは制圧した別の古代都市パルミラを過激派組織「イスラム国(IS)」に奪い返されてしまった。

奪回は裏取引の賜物

だが、米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことで、この状況が打開される公算が出てきた。トランプ氏はロシアと組んでISを打倒することを優先すると約束した。一方で、アサド氏を排除する何らかの政治措置を欧州諸国が望んでいることに関しては、乗り気ではない。

シリア政府軍が自力でアレッポを奪い返せなかったことは、その戦闘力が不足していることを示している。ロシアとともに空爆を行うだけではシリア政府の勝利は不可能だった。奪回できたのは、反体制派がここでは勝てないと悟ったことが大きかった。

ロイターの独自報道によると、米ロ当局は、反乱軍にアレッポからの退路を保証する取引を仲介した。アサド政権とその同盟国は慈悲を示したというよりも、武力に訴えるだけではアレッポ奪回に最長であと数年かかるため、実の利を取ったのだろう。

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