常磐線復旧は「移転後の街」を活性化するか 相馬と仙台が鉄道で再びつながった

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運転再開を祝って、各駅には装飾が施された

東日本大震災による津波で長期間不通となっていた常磐線の相馬-浜吉田間の復旧工事が完成し、2016年12月10日より営業運転を再開した。

福島県相馬市、新地町と宮城県山元町、亘理(わたり)町にまたがるこの区間は、震災前は22.6キロメートルあった。だが、津波で流出した海岸沿いの集落の山側への集団移転に伴い、線路も内陸部へ移設。復旧後の営業キロは23.2キロメートルと0.6キロメートル長くなった。途中駅のうち被害甚大であった新地(新地町)、坂元、山下(以上2駅は山元町)の各駅も、新しく建設された町に移っている。

相馬-浜吉田間の復旧計画は、新しい町づくりと連携して行うことが、地元自治体とJR東日本との間で合意に至ったことから、2012年9月にスタートした。2014年春には着工。約3年間と見込まれていた工事も、順調に進んだことから工期が短くなり、完成が2017年春から2016年12月へと繰り上げられたのである。

今回の運転再開によって、運転再開済みの小高-原ノ町-相馬間と合わせて、小高(福島県南相馬市)-仙台間が鉄道で結ばれ、相馬-亘理間で運転されていた列車代行バスが、前日の12月9日限りで運行を終了。常磐線関連のバス代行区間は、福島第一原子力発電所事故に伴う、竜田-原ノ町間のみとなった。

再開を待ち望んだ住民らが乗車

移設区間における、下り運転再開一番列車は、山下5時42分発の仙台行きで、相馬からは5時38分発の同じく仙台行きだった。県境をまたぎ、特に県立高校生の移動がないことから、一部の列車が山下、もしくは新地始発終着(坂元では折返しができない)となっているのは震災前と同じだ。

山下発の一番列車には、運転再開を歓迎する地元住民の試乗が目立ったようである。相馬からの一番列車も、途中、駒ヶ嶺-新地間で鳥とぶつかり、安全確認のため約20分の遅延を出したものの、やはり鉄道ファンを交えた試乗客が目立った。

次ページ車内放送では線路移設の説明も
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