会社選びでは「企業年金」にも注目すべし 就活のときから年金を知っておいて損はない

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大企業では、トヨタ自動車や日立製作所などが確定給付企業年金と確定拠出年金の両方の制度を導入し、4階建てになっているところもあります。

かつての日本の企業年金は厚生年金基金が主流でしたが、運用難による積立不足やAIJ投資顧問の年金積立金詐欺事件による年金消失などの問題を受けた制度の見直しで、多くの基金が廃止に追い込まれました。

1996年の最盛期に1883あった基金数は、今年11月1日現在で156まで大幅に減少しています。それに替わる制度として期待されているのが、確定給付企業年金や確定拠出年金なのです。

確定給付は企業、確定拠出は自己に責任

確定給付型は今年10月31日現在で、伊藤忠商事や三菱電機など1万3651件の加入があります。原則、給付額が運用によって左右されず、運用責任は企業にあります。もし運用結果が悪ければ、企業が不足分を穴埋めしなければなりません。

従業員にとっては給付額が約束されるメリットがありますが、企業にとっては運用リスクにさらされるので、今のような超低金利時代には負担が大きい制度と言えるでしょう。

そのため、企業の負担が過剰になることを防止するため、キャッシュ・バランス・プラン(CB)という実際の経済状況に応じた変動金利型の仕組みを導入することも、可能となりました。

反対に、確定拠出型では運用リスクは自己責任ですから、従業員が負うことになります。企業型の確定拠出年金では、原則として事業主が掛け金を拠出するものの、運用リスクを負わないので、新しく導入しやすい制度とも言えます。今年10月31日現在で、ソニーやソフトバンクなど5140件の導入があり、増加傾向にあります。

ただし、その拠出された掛け金をどの商品で運用するかは従業員に任されているため、将来の年金額の多寡は個々人の投資能力に左右されることになります。従って事業主には従業員の投資教育を継続的に実施する責務があります。掛け金の上限は、他の企業年金がない場合(3階部分)は月額5万5000円、ある場合(4階部分)は月額2万7500円です。

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