福島原発事故費総額が21.5兆円に倍増  「東電は債務超過でない」と経産相

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21.5兆円の内訳は廃炉が8兆円(従来想定2兆円)、賠償が7.9兆円(同5.4兆円)、除染が4兆円(同2.5兆円)、中間貯蔵施設整備が1.6兆円(同1.1兆円)にそれぞれ膨らむとしている。

世耕経産相は21.5兆円の費用について、「当面は費用が上振れすることはないと考える」と述べる一方で、増加、低減いずれの可能性もあると言及した。

改革委が示した骨子案では、賠償費、廃炉費とも30年程度で回収する。原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて政府が東電の過半数の議決権を持つ国有化は当分は継続し、2019年に国の関与する状況について評価するとしている。

8兆円の廃炉費は、廃炉のために東電が確保するとしている2兆円に加え、原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し作業にかかる費用6兆円を加えたもの。原賠支援機構が有識者に試算を依頼。1979年に起きた米スリーマイル島原発事故の事例を基に算出した。

「債務超過ではない」

世耕経産相は、8兆円の試算について「必要資金として算定しており(東電は)債務超過ではない」と記者会見で述べた。

経産省資源エネルギー庁電力・ガス事業部の村瀬佳史部長は、8兆円について「過去の事例に一定の仮定を置いた上で機械的に算出した」と説明。そのうえで東電が同費用について一括で費用計上する必要性について「そうした認識には至らない」と述べた。

東電の広瀬社長は、今年10月の東電改革委の初回会合後、記者団に廃炉費用を一括計上した場合の債務超過リスクについて言及していた。

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