不振NOVAに群がり始めた市場のハイエナ

不振NOVAに群がり始めた市場のハイエナ

NOVAの経営がますます混迷している。給料遅配が常態化する中、発表された大型増資策。が、正体不明のペーパーカンパニーの背後では怪しげな動きもささやかれる。(『週刊東洋経済』10月27日号より)

 40万人以上の生徒を抱える英会話学校最大手、NOVAの経営が混迷の度を増している。

 本誌が8月25日号で報じた取引先に対する支払い遅延は改善される気配がなく、今月15日の外国人講師への給料も遅配となった。講師が加入する労働組合はたまらず労働基準監督署に駆け込み、猿橋望社長を労働基準法違反で送検するよう申告、事態は日増しに緊張度が高まっている。

 同社が経営危機に陥ったのは、6月に経済産業省が業務停止命令を下したのが発端だ。生徒側が極端に不利となる長期契約が問題視された。行政処分と前後して新入生は急減、中途解約も相次いだ。取引金融機関からの新規融資も断たれ、資金繰りは途端に窮することとなった。

 今年3月末で925カ所の教室は統廃合が進んでいるもようだが、これも資金捻出の側面が強いとみられる。同社最大の金融資産は教室開設に伴う敷金・保証金で、6月末の残高は約150億円。退去となれば返還されるため、運転資金に回せる。ただ、退去費用を支払う必要もあり、両刃の剣でもある。

倒産した丸石と相似形

 結局のところ、現在のNOVAは猿橋社長個人の金策に頼っている状況。社長とその個人会社で4800万株(保有比率72%)を保有するが、少なくとも3分の1が担保などに差し入れられている。

 関係者によると、8月に発行した社債7億5000万円も、都内のコンサルタント会社に貸株された社長の保有株が事実上担保になっているという。実はその社債に関してはさらに隠された事実がある。会社側公表では償還期限が来年8月となっているが、繰り上げ償還条項が付されており、すでに行使可能期間に入っているというのだ。

 そうした中、今月10日未明の午前3時過ぎ、NOVAは新株予約権を大量発行すると突如発表した。すべてが権利行使されれば、64億円の資金調達ができるという大型ファイナンスだ。が、この起死回生策を額面どおりに受け取る向きは少ない。異例の時間帯での発表という事実以上に、その引受先に不審の目が向けられているからだ。

 名乗りを上げたのは「リッチ・ペニンシュラ・トレーディング」と「タワー・スカイ・プロフィッツ」なる英領ヴァージン諸島籍の法人。実はそれらは2年前にも不振企業のファイナンスで登場したことがある。仕手銘柄として知られるイチヤとユニオンホールディングスだ。両社とも、企業規模に比べ過大なエクイティファイナンスを繰り返し、長年赤字を垂れ流し続ける“問題企業”である。

 気になるのは、タックスヘイブンに登記したペーパーカンパニーを背後で操るのが誰か、だ。ある株式ブローカーによると、今月12日に旧南野建設株の相場操縦で大阪地検特捜部に逮捕された「大物仕手筋」の西田晴夫容疑者も、9月後半の一時期、NOVAの資金調達話に関与しかけたことがあったようだ。

 現在、仕切り役と目されているのは、3年前に手形乱発の揚げ句、倒産した丸石自転車に入り込んだ人物や、NFKホールディングスの増資金を自らが支配する投資事業組合に還流させて多額の損失を与えた人物など。後者は西田容疑者とも親密な人物で、猿橋社長が9月中旬に保有株を担保に差し出した別の投資事業組合との接点もある。

 新株予約権の割り当ては今月24日。株価は行使価額の35円を下回って推移するが、過去の例から見て、大量行使の行く先は、市場のハイエナに弄ばれるだけの泥沼になりかねない。NOVAをめぐってはオーストラリアの外相が懸念を示すなど、国際問題の様相も呈し始めているだけに、状況は予断を許さない。

(書き手:高橋篤史)

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