京都で開業ラッシュ、「高級ホテル戦争」勃発 街を挙げて「違法民泊」には徹底抗戦

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この宿泊需要を狙って、ホテル運営会社が日系・外資系入り乱れて、高級ホテルの新規開業を積極化している。2014年には米マリオット系の「ザ・リッツ・カールトン京都」が、2015年には森トラストが運営する「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」が開業。米ホテル大手のハイアットは2019年、有名料亭「山荘京大和」の敷地内に70室程度の「パークハイアット京都」の開業を決めている。出遅れた米ヒルトンは「最適なビジネスパートナーなどの条件がそろえば、何としてでも進出したい」(日本事業を統括するティモシー・ソーパー氏)と野心を隠さない。

大型の土地の争奪戦

だが、京都は三方を山に囲まれ、土地が狭い。所有者が細かく分散しているほか、日本で最も厳しいとされる景観規制条例を敷いている。

その結果起きているのが、大型の土地をめぐる熾烈な争奪戦だ。廃校になった清水小学校の跡地の活用法を京都市が昨年募集したところ、10社が殺到。最終的にはNTT都市開発が、建物を改装して40室程度のホテルへと転換する計画で契約を勝ち取った。現在は日本の映画発祥の地とされる立誠小学校跡地の活用法について計画を募集中。市は具体的に用途を決めてはいないが、「ホテルになるのではないか」(京都市職員)とうわさを呼んでいる。

また藤田観光が運営し、2014年に営業を終了した名門「京都国際ホテル」の跡地は阪急不動産が取得し、マンションを建設する計画だったが、門川市長の強い要望で計画を撤回。三井不動産が取得交渉を進めており、ホテルとなる可能性が濃厚だ。

10月に公表された「京都市宿泊施設拡充・誘致方針」によれば、早めに予約する訪日外国人観光客の増加で、日本人観光客や出張による宿泊が激減。政府が掲げる2020年に4000万人の訪日客を受け入れた場合、京都市では宿泊施設を現状より1万室増やす必要がある。現在、ホテルを中心に4000室の開発計画があるため、残り6000室を確保しなければならない状況だ。

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