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キリンがスリランカで目指す持続可能な紅茶農園 キリンは生産地に深くコミットすることでCSVを実現させる

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「現地では大雨によって地すべりが起きることも多いのですが、それにより肥沃な土壌や畑が失われ、流出した土砂は森や川を汚すことになります。もちろん、人命が失われることもあります」(林田氏)

2015年末までに累計70以上の農園がトレーニングを開始し、30以上の農園が認証を取得。キリンの社員も年に一度は現地に足を運び、トレーニングの状況を確認している。

「農園のマネジャーたちと話していると、『ここをスリランカでナンバーワンの農園にしたい』という熱意や認証取得への意気込みを感じます。認証を得ることで生産効率が上がるだけではなく、労働環境も向上し、良い循環が生まれる。今後は認証農園の拡大を目指すと同時に、農園内に暮らす人々の住環境の改善などにも取り組んでいきたいと考えています」(林田氏)

このほかにも、「スリランカフレンドシッププロジェクト」では、子どもたちへの支援も行っている。「キリン 午後の紅茶」発売20周年を機にスタートし、今年10年目を迎えた「キリンライブラリー」もその1つ。これは、紅茶農園で働く人々の子どもが通っている小学校に図書を贈る取り組みで、寄贈した小学校は延べ100校。1校につき100冊の図書を寄贈している。

「このプロジェクトの開始当時、スリランカは内戦中で、子どもたちには十分な読書環境が与えられていませんでした。そこで、学校の教科書だけではなく、伝記や図鑑など、さまざまな本を読むことで将来の夢を描く手助けになればと考えたのです。寄贈先の先生からは、図書の寄贈が始まってから子どもたちの学力が向上していると聞き、支援が役立っていることを実感しています」(林田氏)

遠野のホップ産地では
耕作地減少に歯止め

商品の原料となる豊かな恵みを提供してくれる生産地をバックアップしたい。そんな生産地に対するキリンの思いは、国内にも向けられている。岩手県遠野市で進行中のプロジェクトもその思いから生まれたものだ。

水田や畑、小川、林といった日本の原風景が広がる遠野は、ビールの原料となるホップの一大産地。毎年、期間限定で発売される「一番搾り とれたてホップ生ビール」には、遠野産のホップがふんだんに使用されている。

キリンビールは半世紀にわたって遠野市と契約栽培による信頼関係を築いてきた。しかし、高齢化や後継者不足により、かつて200軒以上あったホップ生産農家は現在ではわずか37軒。生産量もピーク時の4分の1にまで落ち込んでいる。

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