韓国ポスト朴政権で「反日」はさらに加速する 日韓関係が悪化してもトランプは気にせず?

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事実、2016年7月から中国は、同国で圧倒的な人気を誇る韓流スターたちのテレビや映画への露出を制限する“限韓”とよばれる処置に踏み切った。中韓の緊密な貿易関係を考えれば、その損失――特に韓国経済にとっての損失――は計り知れない。

にもかかわらず、韓国はサードの配備を決め、さらにGSOMIAの締結にまで踏み切ったのである。

慰安婦問題をめぐる日韓合意の裏にあったもの

GSOMIAに対しても、中国の反応は厳しい。日韓のGSOMIA仮締結の事実が報じられたことを受けて韓国メディアが伝えた中国の反応は、敵意むき出しであった。

〈中国共産党機関紙「人民日報」は、専門家の話として、協定は韓半島と北東アジアの平和と安定を脅かすおそれがあるとして、「協定に正式署名するのは、韓国にとって、オオカミを家の中に入れるのと同じ」と伝えています〉(『KBS WORLD RADIO』2016年11月18日)

つまり、2016年夏からのサード配備の決定からGSOMIA締結までの流れをあらためて眺めてみると、韓国は国内の巨大な反日アレルギーを克服し、中国との強い経済的な結びつきという韓国経済にとって死活的な関係さえ犠牲にして、サード配備へと突き進んでいるという、従来からは考えにくい動きをしていることが理解できるのだ。

同じように日本側も、昨年末の日韓合意では、慰安婦問題をめぐって、日本国内にハレーションを引き起こしかねない思い切った歩み寄りの姿勢を示した。そこでは日韓合意後、それまで安倍政権を支持してきていたネチズンたちが、安倍批判に転じるという現象もみられた。

日韓合意も安倍首相周辺に存在した対韓強硬論からすれば、驚くほどの方向転換だ。これを日本自らの決断だといっても、説得力には乏しいだろう。当時、多くのメディアで指摘されたように、合意の裏に米国の強い関与があったと考えるのは、むしろ自然なことである。

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