500社超が参入、「格安スマホ」はこう見抜け! 安さは絶対的な魅力だが、どう選べばいい?

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MVNOは、どのようなユーザーをターゲットとしているのか。大手携帯会社と比べて考えてみたい。大手携帯会社のサービスは、通信以外にも決済やコンテンツなど多岐に渡る。また、全国各地にショップを構えており、手厚いサポートが受けられる点も充実している。

大手携帯会社のように独自のショップを構えるMVNOは少ない。ほとんどは自社のWebサイトでの販売が主体だ(写真:著者提供)

ただし、ユーザーにとって、こうしたサービスが必ずしも必要なわけではない。不要なコンテンツを契約させられることに不満を抱く人が多いのも事実だ。ショップにしても、ネットやスマホに詳しい人は自己解決できてしまうので、さほど重要ではないともいえる。

このように、無駄なサービスを省いている点は、MVNOの大きなメリットだ。反面、手厚いサポートは期待できないので、スマホ初心者にとってのハードルは高い。また、提供社数も多いので、そもそも自分に合ったサービスを探し出すことが難しい。

量販店など、リアル店舗での対応を強化中

つまり、MVNOがターゲットとしているのは、通信料金を抑えたいユーザーの中でも、ネットやスマホに対する知識をある程度持ち合わせており、通信料金を下げることに手間を惜しまない人といえる。スマホにあまり詳しくない人は、多少料金が高くついても、大手携帯会社の中で、より安価な料金プランを選択した方が無難だろう。

MVNOの数が非常に増えたことから、ヨドバシカメラでは2015年より、MVNOなどに関して相談できる「通信なんでも相談カウンター」を設け、ユーザーへの対応を進めている(写真:著者提供)

ただ、最近ではMVNOもライトユーザーを取り込むべく、リアル店舗の販売を強化している。

リアル店舗の契約は、MVNOのショップのほか、最近ではビックカメラやヨドバシカメラなど、一部の家電量販店でも手続きできる。店舗によって扱うサービスが異なるため、オンラインと比べて選択肢が狭くなる難点はあるが、「オンラインでの契約は難しそう、心配だ」といったユーザーのニーズに答えた形だ。ユーザーにとってのハードルは、徐々にではあるが下がりつつある。

リアル店舗への展開など、着実に広がっている格安スマホ。次回はユーザーが注意すべきデメリットについて解説したい。

佐野 正弘 モバイルジャーナリスト

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さの まさひろ / Masahiro Sano

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける

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