「選手視点の中継」というスポーツの大革命 仮想現実はスポーツをどう変えるか?

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それ以降、3ポイントシュートの試投数、成功率を重視したチームが上位に名を連ねることとなった。NBAトップクラスの3ポイントシューターであるステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの2人を擁したゴールデンステイト ウォリアーズは2014-15シーズンに優勝し、2015-16シーズンには1シーズン勝利数の新記録を樹立した。

なお、NBAと同様のシステムをジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)も導入することを発表しており、日本のプロスポーツでもデータ分析を含めたICT活用が拡大しつつある。

ICTとスポーツの融合

ここで紹介した事例は、スポーツにおけるICT活用のほんの一部でしかない。

プレー中の選手は全員がウェアラブル端末を装着しており、選手のスプリント速度や走行距離をはじめとしたパフォーマンスに関わるデータすべてがリアルタイムに測定される。監督はそれをタブレット端末で確認しながら戦略を構築し、現場で判断しながら実施する。

それにとどまらず、将来的には、AI(人工知能)が集められたデータを解析し、監督やコーチの役目を担う。そして、スポーツの観戦者はVRゴーグルやメガネ型のウェアラブル端末を身に付けることで、自らが選手であるかのような感覚で楽しめる。ドローンによる鳥瞰映像、好みに応じたカメラアングルからのリプレー映像などを、場所を選ばずいつでもどこでも視聴したいタイミングで視聴する。

このような世界が、遠くない将来、訪れるかもしれない。スポーツでのICT活用は無限の可能性を秘めているのである。

滑 健作 野村総合研究所 副主任コンサルタント

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なめら けんさく / Kensaku Namera

1986年東京都生まれ。2010年東京工業大学大学院修了後、野村総合研究所(NRI)に入社。情報通信産業・製造業・コンテンツ産業における事業戦略・マーケティング戦略などコンサルティング業務に従事。

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