「女たちの政治」が揺るがし始めた世界の秩序

日本も変わらずにいられるわけがない

米大統領選でトランプが選出された直後の11月12日、英誌『スペクテイター』は「プラネット・トランプ」と題した号で、トランプ勝利と英国のEU離脱は一見同質の衝撃に見えて、本質的には意味をまったく異にする現象である、と皮肉たっぷりに書いている。

”『米国の後退』
トランプは「この大統領選はブレグジット(英国のEU離脱)の10倍の衝撃となる」と予言した。(中略)人口動態の変化に不安を抱き、長きに渡って自分たちの存在を無視されてきたことへ怒りを抱える貧しい中高年――。英国において、そしていまや米国においても、彼らが新たな”革命階級”だ。
(中略)しかしながら今年、(米国において)彼らが求めたのは解決策ではない。トランプ主義とはすなわちヒラリー・クリントンが大統領となるのを阻止し、かつ政治システムに二本指(英国的表現であり、米国で言う中指)を突き立てることである。そして、それ以上のたいした意味を持つものではない。
(中略)一方英国においては、EU離脱賛成票とは「もし皆が望むのであれば」システムを修復するチャンスを与えようとする政治家たちの象徴だった。その後首相となったのはテリーザ・メイであり、”トランプさん”も”クリントン夫人”も到底敵うべくもない高い人気を享受している。我々の英国にはまともに機能するシステムがある、それゆえのEU離脱だ。米国の政治は崩壊している、それゆえのトランプである。”

「英国が核抑止力を保持していることを喜ぶべき」

崩壊した米国に比べ、英国は再生の道を歩んでいるとする英保守の論調。それが正しいかどうかは別として、自分たちの女性首相テリーザ・メイを手放しで褒めながら、同じ女性であっても米国のヒラリー・クリントンは容赦なくこき下ろす。

”米民主党がヒラリー・クリントンを野に放したのは、政治的な自殺行為だった。彼女は政治エスタブリッシュメントを具現化する存在であり、過去四半世紀の間、公の立場にいたものたちの利益を代表する存在であり、それを「チェンジ」を起こす候補者などと、よくも呼んだものだ。彼女は疑いなく、トランプをより有利にするだけの存在であった。”

アメリカの政治は崩壊し、NATOの政治的平衡はトランプによって崩されていくだろうと予測するスペクテイター誌は、こうとまで言う。

”いまや欧州はパクス・アメリカーナを伴わぬ世界をイメージするべき時機にあり、英国の持つ独立した核抑止力に感謝すべきである。”
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