ユニクロ、「感謝祭」でも物足りない回復度 大型セールでも消費低迷を跳ね返せず

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今年の「感謝祭」は昨年以上の力の入れようだった。昨年が4日間のセールだったのに対し、今年は23日(水)の休日から29日(火)までの7日間。戦略商品である「ヒートテック」など、一部商品では値下げ幅も拡大した。さらに昨年の挽回を図るべく「ユニクロ大感謝祭」と銘打ったチラシを、セール前日と期間中に合わせて2度投入している。

それでも売り上げを取りきれなかった。東京でも54年ぶりの積雪に見舞われるなど、11月は低温で冬物を売りやすい環境だったことを考えると、やはり物足りなさをぬぐえない。

しまむらは実用衣料が好調で16.4%増

一方で、競合となる低価格アパレルは売り上げを順調に伸ばしている。「ファッションセンターしまむら」を展開するしまむらは11月度(10月21日から11月20日)、既存店売上高を前年同月比16.4%も伸ばした。ブルゾンなどのトレンドアイテムに加え、冬物の実用衣料の伸びが牽引した。

10月決算会見に臨む柳井会長。「会社計画は確実にお約束できる数字」と話した(撮影:今井康一)

今期、国内のユニクロ事業は店舗の売上高を前年並みで計画している。ここまで9月~11月の3カ月間の累計では2.9%増であり、会社の計画と比べると貯金がある状況だ。ただ前期に下方修正を繰り返しただけに、今期はそれを避けようと、計画自体を低く設定している印象がある。

ここ数年、国内の伸び悩みが目立つユニクロ。店舗の大型化や商品刷新など打てる手は打っているだけに、それがかえって成長の天井を感じさせる。12月には年末のセール、さらに年明けには初売りセールも予定されている。どう壁を突き破るか。ユニクロの突破力が試されている。
 

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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