ラブホテル業界で急速に進む「二極化」の実態 若いカップルは新法営業ホテルを選んでいる

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それを象徴するのが、日本の三大歓楽街の1つ、新宿・歌舞伎町の動向だ。ここでは一般ホテルもデイユース(休憩利用)プランを用意しているケースが多い。「業態間の境界線が曖昧になり、休憩利用客を取り合っている」(瀧澤氏)。

もっとも4号営業ホテルは、利益を上げやすいビジネスでもある。一般的な利用単価は6000円程度と安いが、1日1室当たり2~3組、繁盛店ではそれ以上と回転率を上げることができれば最終的な利益は大きくなる。

リニューアルしようにも融資がつきにくい

ホテルバリアンリゾートではドリンクなどの飲み放題サービスを提供(写真:瀧澤信秋)

問題は客をいかに呼び込めるかだ。都市部では先述のように若いカップルは新法営業ホテルに流れがち。一般ホテルとの競争も激しくなっている。リニューアルで対抗しようとする場合、資金がネックとなる。4号営業ホテルは金融機関の融資を受けにくいという事情があり、基本的に自己資金で賄わなければならない。

法律の面でも、さまざまな厳しい制約がある。そもそも4号営業ホテルは現在新築することはできず、すでに存在している店舗のみ営業が許される既得権ビジネスだ。4号営業ホテルとして大規模な改築や増築を行なうこともできず、ビジネスホテルに業態転換して建て替えるケースもある。こうした厳しい環境が4号営業ホテルの減少につながっているといえる。

もっとも、不倫や風俗利用など、4号営業ホテルには一定の需要が根強くあることはたしか。また法律の許す範囲内でリニューアルをして人気を保っているホテルもある。新規に建設できないことを逆手に取り、勝ち残りさえすれば希少性の高さがウリになって残存者利益を享受することもできるだろう。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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