ラブホテル業界で急速に進む「二極化」の実態 若いカップルは新法営業ホテルを選んでいる

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人気の新法営業ホテルに共通する特徴は、外観から内装まで洗練されたおしゃれな作りでいかがわしさがないこと。たとえば備品から音楽、香りまでバリ島の雰囲気を醸し出すように統一し、まるで高級リゾートホテルにいるかのような印象を与えるようなホテルだ。

こうしたホテルが若者にウケる理由について、ホテル評論家の瀧澤信秋氏は、「昔のラブホテルは男性目線で直情的な雰囲気が好まれた。しかし最近の若いカップルは女性の意見が尊重される。男性にとっても女性にまた来たいと思われるようなホテルを選ぶことは理にかなっている」と言う。新法営業ホテルではフロントでスタッフと対面、他のカップルとも鉢合わせするが、「まったく気にする様子がない」(瀧澤氏)。

数十種類のシャンプーを用意

東京・国立市のウォーターホテルS国立店のデッキスペース(写真:瀧澤信秋)

こうしたホテルが取り入れている”女性目線”は徹底している。たとえばシャンプーバイキングというサービス。数十種類ものシャンプーが取り揃えられ、自由に選ぶことができる。「家で使っているものと同じシャンプーを使いたい」、あるいは「新しいシャンプーを試してみたい」という女性のニーズに応えたものだ。またドライヤーもノーマルタイプ、カール用、アイロン用など数種類が置かれている。その他にも浴室テレビ、ビデオオンデマンド、カラオケ、サウナなど部屋の中は至れりつくせりの設備が整っている。

高級ホテル顔負けのサービスが、なぜ新法営業ホテルでいち早く導入されたのか。それには、人的サービスが限定されるという事情が挙げられる。基本的に利用客は部屋で過ごす時間が長く、その時間を楽しく快適なものにするには設備やアメニティに力を入れる必要があったのだ。

では4号営業ホテルの状況はどうか。店舗数の推移を見ると、風営法が改正された2011年の6259店から2014年は5940店と減少傾向にある(警察白書)。その理由は、少子化による若年層の減少、セックスレス傾向に加え、「都市部で一般ホテルとの競争が激化しているため」と瀧澤氏は指摘する。

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