プロデューサーが語る「ファンタビ」の将来性 ハリポタ含め50年超のシリーズ作品になる?

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――今回は原作者のローリングさん自ら脚本を書いたとのことですが。ヘイマンさんが考える、原作者が脚本を書くメリットは?

「ハリー・ポッター」シリーズの時は脚本家がいたが、やはり本をそのまま復元するのは難しいことだった。でも本が売れているという安全性はあった。その安全性というのはスタジオにとっての安全性ということだけど(笑)。ただ、世界中でものすごい数のファンが読んでいて、この世界を知っているわけだから、次の物語を他の人が書くのは不可能に近いと思う。これに関しては、ジョーほど魔法の世界を知っている人はいない。彼女は想像力もすばらしいし、非常に寛大な心を持っている。どんなページにも彼女の精神が宿っている。それが、原作者が脚本を書くメリットだろうね。

――逆にデメリットや、やりづらさはありましたか。

やはり最初の台本を読むまでは本当に怖かったということかな(笑)。作家であっても、アニメの作家であっても、マンガ家であっても、みんなが脚本を書けるわけではないからね。だが、わたしの立場で「ちょっとこれは諦めた方がいいんじゃないか」ということは絶対に言いたくなかった。でも幸運なことに、脚本の最初のページを読んでみて、これは大丈夫だと思いましたね。

ハリー・ポッターシリーズは50年続く?

「ファンタスティック・ビースト」も長期シリーズの期待が高い (C) 2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights (C) JKR.

――やはりベストセラー作家の力を見せつけたということですね。

だからといって、最初から完璧だったというわけではなかった。もちろん彼女が書いた脚本にはすばらしいシーンがたくさんあったし、キャラクターもすばらしかった。セリフだってすばらしい。でもいくらすばらしいシーンがいっぱいあっても、それをどうやってつなげればいいのか。最終的にひとつの形にしていく時に、全体的なトーンをどう設定していくかが問題となった。彼女は本当にいろんな描き方ができるだけに、なおのことそうなる。

最初に来た脚本はとても遊び心があるものだった。そして2番目に来た脚本はものすごくダークなものだった。最終的には、両方の要素がこの映画には出ている。そういう要素をうまく練り込みながら作っているのでドラフトはたくさん書いたんだ。

――「ハリー・ポッター」シリーズは2001年から10年間続いた長期シリーズ。この「ファンタスティック・ビースト」も5部作で、長期シリーズ化が予想されます。そして両シリーズをつなげるのがホグワーツ魔法魔術学校。今後、ホグワーツを軸にしたさまざまな作品が生まれる可能性が広がったと思います。それこそイギリスが生んだ名作『007』シリーズのように、50年以上続くことも夢ではないかもしれませんね。

ボンド映画もそうだけど、それぞれが個々で観ても楽しめるのがいいところだと思う。50年と聞いて、すごくワクワクする反面、怖い気持ちもある(笑)。確かに「ハリー・ポッター」シリーズが終わった時にはものすごく複雑な気持ちになったし、自分が全身全霊を傾けていたものが終わってしまうことはやはりさみしいものだから。でもそれと同時に新しいことができるという期待もあったのも確かだ。

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