「介護疲れ」を脱却する親の本音の聞き出し方

「生かすこと」が目標になってはいけない

介護を悲劇にしてはいけません(写真:Graphs / PIXTA)

親の介護はほとんどの人についてまわる問題です。ですがその過酷さは周知のとおり、時に人を苦しめ、死にまで追いやることすらあります。介護に時間も心も消費し、誰に頼ることもできずに……という悲惨な事件は後を絶ちません。

私は理学療法士として、そしてリハビリを特徴とする介護施設を運営する事業者として、多くの親子を見てきました。拙書『親と心を通わせて 介護ストレスを解消する方法』でも触れていますが、介護は大変な重労働とはいえ、本来親子が幸せになれるすばらしい可能性を秘めた営みです。それは方法・考え方次第と言えるでしょう。

3人に1人が親に憎しみを感じてしまう介護の苦しみ

「親の面倒は子がみるもの」、日本には古くからこのような価値観もあり、時代が移り変わった現代においても、介護が必要になった時は家族で何とかしようと思う人が多くいます。実際、内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると、主な介護者(介護をする人)の6割以上は同居している家族で、いちばん多いのが「配偶者」の26.2%、次いで「子」が21.8%、「子の配偶者」が11.2%となっています。子の配偶者も義理の息子・娘ですから、30%以上の高齢者が「子による介護」を受けていると言えます。

親に介護が必要となったとき、子の多くは「介護してあげたい」と自然に思うことでしょう。ところが実際に介護が始まると、やがて介護者である息子・娘は想像以上の苦労を強いられることになります。ベッドから起こしたり椅子へ移動させたり、さらにはオムツ交換など下の世話まで……。そして何より24時間365日、ほとんど休みなしです。

親の介護ではさらに、必要十分な世話ができていないと世間から白い目で見られることすらありえます。頑張っているのに報酬があるわけでも周囲の評価が上がるわけでもない――そんな介護者の苦しみを理解し、共感できる人は多くありません。

そのため、手伝ってくれる人や相談できる人を見つけることができないまま、肉体的にも精神的にも疲弊し、ストレスを募らせていくのです。

身近な人を介護している人の実態を調べた日本労働組合総連合会の報告によると、介護者の約8割の人が「ストレスを感じている」と回答、約3人に1人は「憎しみを感じている」と答えています(「要介護者を介護する人の意識と実態に関する調査)より)。

親の介護を引き受ける動機となった優しい想いが、のしかかるストレスによって押しつぶされてしまう。介護はそれほど厳しく、容易に人を不幸にしてしまう営みなのです。

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