「保険が下りない」想定外の事態を避ける知恵 医療保険の「3大疾病」保障はこんなに違う

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たとえば、三井住友海上あいおい生命「新医療保険Aプラス」の「三大疾病入院一時給付特約」は上皮内がんも保障の対象にしている。

一方、アフラックの「ちゃんと応える医療保険EVER」の「三大疾病一時金特約」は、「大腸の粘膜内がんなどの上皮内新生物は対象になりません」と約款に明記されている。アクサ生命「一生保障の医療保険プライム」の「3大疾病診断給付特約(03)」も、「上皮内ガンを除きます」とされている。

週刊東洋経済は12月3日号(11月28日発売)で『最強コスパで選ぶ保険』を特集。コスト(保険料)とパフォーマンス(保障内容に応じた給付金や保険金の受け取り)のバランスを見た、コスパランキングも多数掲載している。

急性心筋梗塞のみという保険も

医療保険の「3大疾病」の保障対象は各社で異なる。パンフレットの注記を読み込むことが重要

次に心疾患の保障対象を見ていこう。心疾患には、急性心筋梗塞のほか、狭心症や心不全なども含まれる。だが、3大疾病一時金の保障対象となる心疾患について、急性心筋梗塞のみ、としている医療保険が少なくない。

オリックス生命「新キュア」の「重度三疾病一時金特約」、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「新・健康のお守り」の「医療用三大疾病入院一時金特約」、メディケア生命「メディフィットA」の「3大疾病保障特約」などだ。

急性心筋梗塞だけでなく、広く心疾患を保障対象にしているメットライフ生命の場合、心疾患による入院給付金の件数に占める急性心筋梗塞の割合は11%に過ぎなかった(2011~15年の支払実績)。狭心症は34%、心不全は17%だったので、急性心筋梗塞よりも狭心症や心不全の人に支払ったほうが多い。

3つめの脳血管疾患では、脳卒中のみを対象としている医療保険がある。心疾患のうち急性心筋梗塞のみを対象としている医療保険は、脳血管疾患でも脳卒中のみを対象としている場合がほとんどだ。メットライフ生命の調査によれば、脳血管疾患による入院給付金の支払件数に占める脳卒中の割合は77%。残る23%は脳卒中以外の脳血管疾患に対して支払われている。

このほか、7大生活習慣病(3大疾病+糖尿病、高血圧性疾患、肝疾患、腎疾患)の保障範囲にも違いがある。肝疾患のうち肝硬変のみを対象としている保険、腎疾患のうち慢性腎不全のみを対象としている保険がある。ただし、一般的な傾向として、保障範囲が広ければ負担する保険料は高くなるので、コストも比較したうえで判断したい。

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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