【遠藤功氏・講演】遠藤功のプレミアム戦略(その2)

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●圧倒的に儲かる5%

 商品によって異なりますが、プレミアムというのは市場全体の5%程度だと言われています。5%だから大したことないと思いますか? 5%と言っても、それは台数や本数ベースです。単価で比較すると、絶対額は5%ではない。さらに、利益ベースで見たら、圧倒的に儲かる5%なのです。
 また、プレミアムには2種類あるということも、本の中に書きました。それは商品の単価で決まります。商品の単価が比較的低いもの、中程度のもの、もしくは高いもの。そこには商品の「格」があります。例えば、ビールだとかアイスクリームだとかシャンプーだとか、これは日本の会社が一生懸命やっています。中にはプレミアムという名前だけ付けて、インフレに乗じて値段を上げている会社もあります。
 これも価格差を見ると、例えばサントリーのザ・プレミアム・モルツをコンビニで買うと、平均250円。発泡酒や第3のビールをまとめ買いすると一本100円ぐらいですから、だいたい2.5倍ですよね。でも、この「ちょっとプレミアム」というのは、比較しても一般商品よりも2倍~3倍程度です。もちろん、この分野はこれからまだ伸びていくでしょう。比較的気軽に楽しめる「ちょっとプレミアム」というわけですね。この単価の低いところというのは、せいぜいやっぱり2倍とか3倍の価格なんですね。たぶんこれを10倍にしたら、さすがにお客さんは買わないでしょう。

 一方で、比較的単価が高いところ。例えば、自動車とか宝飾品とか時計とか、これはもう完全に欧米ブランドの牙城になっています。
 一番おいしい部分で、これから海外でも伸びるというマーケットに対する取組みを、もっともっと加速させなければいけない。この単価の高いところになったら、何十倍という価格差が付くわけです。やはり嗜好品というのは、きりがないんですね。幾らでも払うわと。しかも、高くしてもお客さんは喜んで払っていると。
その3に続く、全5回)

遠藤功(えんどう・いさお)
早稲田大学大学院商学研究科教授、株式会社ローランド・ベルガー会長
早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機株式会社、米系戦略コンサルティング会社を経て、現在に至る。
著書に『現場力を鍛える』『見える化』『ねばちっこい経営』(東洋経済新報社)などがある。
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