伊豆に「豪華観光列車」を投入する東急の思惑

「水戸岡デザイン」は社長の希望だった!

「THE ROYAL EXPRESS」の発表会で手を取り合う東急電鉄の野本弘文社長(左)、水戸岡鋭冶氏(中央)、伊豆急の小林秀樹社長(撮影:今 祥雄)

今や全国各地の鉄道に広がった観光列車。眺望を重視した車両や豪華な設備を誇る車両など種類はさまざまだが、その先駆けとなった列車の一つが、伊豆半島を走る伊豆急行の「リゾート21」だ。階段状に並んだ先頭車の展望席や海側を向いたシートなど、それまでの列車にはなかった工夫を盛り込んで1985年に登場。改良を重ねながら計5本が導入され、伊豆観光の最盛期を彩った。

この「観光列車のパイオニア」というべき車両を一新した新たな観光列車が、2017年夏から横浜と伊豆急下田を結んで走り出す。列車名は「THE ROYAL EXPRESS(ザ・ロイヤルエクスプレス)」。内外装のデザインを担当するのは、JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」などで知られる水戸岡鋭冶氏だ。

「新しい観光列車は、60年に及ぶ伊豆への思いの結晶です」。11月17日に開かれた発表記者会見で、伊豆急の親会社である東急電鉄の野本弘文社長はこう語った。

伊豆観光の復活へ「一番効果がある」

今回の観光列車は、伊豆急だけでなく東急グループとしての取り組みだ。東急と伊豆の関わりは長く、急峻な地形から鉄道網に恵まれなかった伊豆半島への鉄道建設を実現に導いたのは、東急電鉄創業者の五島慶太だ。同社が伊豆半島東海岸に鉄道の敷設免許を申請したのは、今からちょうど60年前の1956年。難工事を経てその5年後に開業した伊豆急は、伊豆観光の牽引役としての役割を担ってきた。

だが、1980年代末の全盛期には年間6000万人を越える観光客で賑わった伊豆エリアも、景気の低迷や相次ぐ地震の影響などで、2000年代後半には4000万人を割るまでに減少。近年は約4500万人まで持ち直しているものの、地域の観光活性化は大きな課題となっている。

東急グループも活性化に向け、新たな名産品化を目指したオリーブ栽培などの取り組みを行ってきた。その中で、「もっと早く伊豆が元気になってもらうためには何が必要かを考え、一番効果があると思える最大のもの」(野本社長)として決めたのが、新たな観光列車の導入だ。

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