「PDCAを回せない人」は実行のコツを知らない 5つのステップで計画倒れから卒業しよう

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世間でいう「計画倒れ」の正体はこれである。実はこのケース、積極的に権限移譲をする管理職が率いるチームでよく起きる。実際に職場で起きやすいのはこういった会話だ。

上司:「本件で注意すべき点はこんなところだ。これ、お前一人でやってみるか?」
部下:「あ、ありがとうございます! 課題も見えているので心配ありません!」

 

(1週間後)

上司:「そういえばあれ、どうなった?」
部下:「実は、若干、方法で悩んでいまして……」

 

はたから見ると部下を信用している「いい上司と部下」の関係に見える。でもこの上司も部下も勘違いしているのは「計画ができていればすぐに行動に移せる」と思い込んでいることだ。

権限移譲は部下のポテンシャルを引き出したり、短期的にはやる気を生み出したりするメリットもあるが、見極めを誤ると部下が苦しみ続け、逆に著しいモチベーションの低下にもつながりうる。

実行速度を上げたいのであれば上司は部下に対して「これをやれ」で終わらせずに、部下自身で「どうやってやればいいのか」を判断できる能力があるか正しく見極め、そのレベルに合わせてPDCAが軌道に乗るまで丁寧にフォローする必要がある。

仮説に自信が持てず、行動に気後れ

実行できないケース③ 失敗が恐い

いざ計画を立てても「情報が足りない」「思考の整理がついていない」「リスクが見えづらい」などの理由から仮説に自信が持てず、行動に気後れする人は大勢いる。

中止にする決断を下すならまだしも、「どうしようかな。やっぱりやめようかな。でもなあ……」といつまでも煮え切らない態度をとるのだ。そこで私はポリシーとして「行動ファースト」を持つようにしている。「悩んでいるならやってみよう。やることで課題が見える」という発想だ。

この発想のベースは仮説思考である。正解などそもそもないのだから、ある程度仮説を立てたらやるしかない。いくら調べてもわからないものはわからないし、不安を解消するための情報収集は往々にして莫大な時間を消費し、大した成果は得られない。

次ページ実際のステップの解説
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