新大阪-放出間に建設中「新路線」の現状は? 「おおさか東線」が2019年春に開業

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学研都市線と3面4線となる鴫野駅

新大阪駅は、おおさか東線の乗り入れに対応して、以前の島式4面から5面となる。梅田貨物線とは反対側の東側に1面を増設し、すでに2012年末から東海道下り外側線の新ホームとして供用を開始した。以後、既設ホームを1面ずつリニューアルのうえで順にルートを移設、最も西側の既設ホーム(以前は東海道上り外側線と南紀方面特急や「はるか」が使用)を改装しておおさか東線に充てる。

新大阪駅へは城東貨物線から分かれて北から合流するため、向きが変わる。西側に着発することとなったため、おおさか東線は、下り(久宝寺方面行き)が梅田貨物線とJR京都線の計6線、上りがJR京都線の4線を乗り越す。このため勾配は30‰(パーミル)、なおかつ曲線半径225メートルの厳しい線形となり、準備として既設線の移設等も伴うこととなった。

現在の工事進捗状況は橋桁を架けている段階で、一気に進展している。この乗り越し橋は、少しでも勾配を緩和するため、門型の橋脚上に橋桁を単純に載せるのではなく、横梁に嵌め込む特殊な構造を採用して、軌道面の高さを約1.7メートル下げている。

乗り越し部と神崎川信号場の間には西吹田駅が設置される。北区間の新設駅はすべて相対式となる。ホーム延長は8両編成に対応する。城東貨物線と合流する区間では基本的に盛土を拡幅した腹付線増を行い、単線をいったん新線に切り替えて旧線の改修を行い、複線化を図る。駅部では一部を高架橋に取り替え、高架下駅舎を設置する。

有名な「歩道」は廃止

淡路駅は、阪急電鉄京都本線・千里線淡路駅の近傍で交差する。阪急も連続立体化工事を行っており、将来的には現在地上の阪急を越えるおおさか東線のさらに上に、上下線別2層の巨大な高架橋が架設される。

淡路~都島間の淀川の橋梁、通称「赤川鉄橋」は複線トラス橋梁の1線分を、線路としては使用していなかったため便宜的に歩道として供していたことで有名だったが、工事に伴い歩道は廃止された。その歩道側に新線を通して供用を開始し、現在は旧線側の線路を更新している。

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野江を経て、鴫野駅の西方で学研都市線と合流し、寝屋川を渡る。これより放出までは複々線化されるが、ここでも複雑な線路切り替えが行われている。寝屋川は河川の防災管理上、大阪府が堤防を1.4メートル嵩上げするため、先に学研都市線を新橋梁に切り替えており、おおさか東線用の橋梁はこれから架設する。また、鴫野駅は新旧高架橋を並べて線路別配置の3面4線となるが、おおさか東線建設にあわせて旧高架橋の耐震補強やホーム刷新を行う。現在は京橋方面行きが新設線に移され、木津方面行きは古いホームを改築するために仮設ホームを準備している。

将来、鴫野駅の放出方では学研都市線木津方面行きの線路がおおさか東線を乗り越して北側に移り、学研都市線がおおさか東線を挟む形の方向別複々線として放出駅に向かう。鴫野~放出間で渡る城東運河も堤防を3m嵩上げして防災強化を図るため学研都市線の線路も扛上を行った。放出からは南区間となり、学研都市線京橋方面行きの線路をくぐって久宝寺方面へ向かう。

南区間におけるJR長瀬~新加美間は2.7キロメートルと、駅間が他区間より長かったが、中間に請願駅として新駅が設けられる。北区間開業より1年早い2018年春の予定である。
 

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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