日本にとって、TPPは「無用の長物」に変質した 米国抜きという「悲劇的な代替案」に現実味

✎ 1〜 ✎ 294 ✎ 295 ✎ 296 ✎ 最新
拡大
縮小
11月22日、ペルーのフェレイロス貿易相は、トランプ次期大統領が来年1月の就任初日にTPP脱退を通告すると表明したことを受け、TPPに関する新たな話し合いを提案した。リマのAPECサミットで19日撮影(ロイター/KEVIN LAMARQUE)

米ホワイトハウスはオバマ政権がTPP(環太平洋経済連携協定)の批准を議会に求めず、次の政権に委ねると発表した。米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利により、TPPの棺(ひつぎ)には最後のくぎが打たれた格好だ。

これまでも米国以外の参加11カ国が、米国抜きの「後退型TPP」を模索してきた経緯がある。しかし米国の要求を満たすのがTPP本来の目的だったため、中身が大きく変わってしまうおそれがあり、議論は進まなかった。

ニュージーランドは選挙前から「米国抜き」を検討

米大統領選の前にそうした事態を予期していた国もある。ニュージーランドのティム・グローサー駐米大使は10月半ば、米国参加を想定しない「悲劇的なプランB(代替計画)」を考えていると述べていた。

グローサー氏は貿易相としてTPP交渉に参画した経験がある。しかし当時はヒラリー・クリントン氏の勝利が濃厚とされ、政権移譲で空白が生じる「レームダック期間」に米議会がTPPを承認する公算は小さいとみられていた。

次ページ日本にとって「米国抜き」が無意味な理由
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT