トランプ支持者の怒り「公約破るなら圧力も」 妥協を重ねつつあることに不満の声

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コロラド州を本拠に活動する民兵団体「スリーパーセント・ユナイテッド・パトリオット」の指導者であるマーク・モリス氏は、一部の問題についてはトランプ氏にも時間が必要だろうと理解を示す。ただオバマケア廃止と、亡くなったアントニン・スカリア氏の後継となる連邦最高裁判事の人事については、迅速に動くことを期待しているという。

モリス氏は、公有地での家畜放牧に対する課金をめぐる牧畜農家と連邦政府の紛争については、トランプ氏が牧畜農家側に味方することを望んでいると言う。「スリーパーセント」のメンバーの多くが参加する契機となった問題だ。

トランプ氏が結果を出さない場合は支持者が離反することを覚悟しておくべきだ、とモリス氏は警告する。

「彼ならやってくれると大きな期待を抱いて人々は投票した」とモリス氏は言う。「もし結果を出さないまま4年の任期の終わりに戻ってきて、自分がやるべきことをやり遂げるにはもう4年必要だ、などと主張しても、うまく行くとは思えない」

あれだけ強い調子で語っていたトランプ氏は、移民問題について強い行動を起こさなければならない、と移民の抑制を支持する団体ナンバーズUSAを率いるロイ・ベック氏は語る。

低熟練労働者や特別なスキルを持たない移民削減を含め、不法移民の取り締まり強化と合法的な移民や外国人労働者の削減という公約を守らせるよう、ナンバーズUSAをはじめとする草の根団体はトランプ氏に圧力をかける、とベック氏は言う。

「最優先課題というからには、実行すべき」

「あれほど大胆に移民問題を最優先課題にしなかったら、彼が大統領に選ばれることは絶対になかっただろう」とベック氏は断言する。「最優先課題というからには、実行すべきだ。問題はその詳細だ」

トランプ氏の「国境に壁を築く」という提案は、移民に関する法の支配の回復を簡潔に表現しただけだと支持者の多くは理解しているとベック氏は指摘。ただ、公約としてトランプ氏を評価する基準になるとも語った。

「移民問題への対処については、私たちは1950年代以降で最も良い立場にあるが、それでも課題は大きい」とベック氏は言う。

妊娠中絶反対運動の活動家の多くは、この問題に関するトランプ氏の公約は信念に基づくものというより政治的なポーズではないかと疑っており、まだたくさんの証拠を示さなければならないと考えている。

「私たちの思いは複雑で、興奮からある程度の懸念、その中間とさまざまだ」と、妊娠中絶反対運動団体「マーチフォーライフ教育防衛基金」のジャンヌ・マンチーニ総裁は、トランプ勝利について語った。

マンチーニ氏は、中絶合法化を認めた1973年の「ロー対ウェイド事件」を覆すような裁判官を任命するというトランプ氏の公約に触れ、「私たちにとって何より重要なのは、特に最高裁判事の人事に関して、トランプ氏に選挙期間中の公約を守らせることだ。彼が自分の言葉に誠実であることを確かめたい」と述べた。

市場自由化推進団体であるアメリカン・エナジー・アライアンスの会長でトランプ氏を支持しているトーマス・パイル氏は、トランプ氏は迅速に行動する必要があると言う。

「ワシントンは方向転換が非常に難しい場所だ。トランプ氏が中央政界の流儀を覚えるまでは、手掛りは限られているだろう」とパイル氏は言う。「しかし思い切って動けば、たくさんのことができる」

(執筆:John Whitesides 翻訳:エァクレーレン)

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